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<再生する地域医療>地域完結型の体制構築

伊勢秀雄(いせ・ひでお)1949年、石巻市生まれ。東北大医学部卒。東北大医学部講師を経て97年石巻市立病院外科部長、2004年病院長。05年から市病院局長を兼務。専門は消化器外科。

 東日本大震災で被災した石巻市立病院(宮城県石巻市)がJR石巻駅前に移転新築され、9月1日診療を再開する。被災から約5年半、再建の指揮を執った伊勢秀雄病院長(67)に抱負を聞いた。

◎石巻市立病院9月再開/伊勢秀雄病院長に聞く

<複数疾患に対応>
 −新病院の特徴は。
 「急性期から慢性期まで対応する。急性期に特化していた東日本大震災前より対象領域が広がる。石巻地域で切れ目のない医療を完結させたい」
 「石巻市医師会による在宅医療を支援する。患者が一時的に入院が必要になれば市立病院で受け入れ、治療して良くなれば再び在宅に戻る流れになる」

 −診療科目は震災前の14から6に減った。
 「これまで臓器別に循環器科や消化器科などとしていたが、総合内科として患者全体を診る。高齢者は一つの疾患だけでなく複数の病気を持ち、その部分だけの対応では済まないことが多い」

 −緩和ケア病棟の狙いは。
 「以前からがんの末期患者は入院していたが、緩和ケアと称するほどの態勢ではなかった。緩和ケアに限った病棟は石巻圏域で初めてで、地域で医療を完結できる体制を構築する」

 −石巻赤十字病院とどう連携するのか。
 「競争ではなく、互いに補完する位置付け。赤十字病院は急性期対応で24時間の救急態勢を完備する。治療で快方に向かい、もう少し入院治療した方が社会復帰しやすい患者もいる。そうした患者を受け入れる」

<高い利便性確保>
 −懸念する声がある新病院周辺の渋滞対策は。
 「救急車については、消防署が踏切の遮断時間も含めて詳細な情報を持っている。病院建設中も工事車両による渋滞が懸念されたが、大きな支障はなかった。再来院は予約制を取るので、うまく分散できるようにしたい。駅前はバスと電車が使え、高齢化を考えると立地は極めて良く、利便性が高いメリットがある」

 −被災からの再開に5年半がかかった。
 「当事者としては長かった。被災者も同じ思いだと思う。ただ、通常、計画的に病院建設を進めても、3年半から4年はかかる。被災地にあって極端に遅いわけではなかったと思う。真価が問われるのはこれからで、良質の医療サービスを地域に提供していきたい」(聞き手は石巻総局・鈴木拓也)


2016年08月31日水曜日


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