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<キラリこの技>研磨技術 輝く時計生む

ザラツ研磨を施す職人たち。繊細な手作業でゆがみのない面を整える
細部まで研磨が施され、全体がクリアに輝くミナセの腕時計

◎東北のものづくり(4)協和精工(秋田県羽後町)

 高速で回転する研磨板に、職人が腕時計のさまざまなパーツをそっと押し当てる。「ザラツ研磨」と呼ばれる鏡面加工の下地処理で、発祥のスイスでもほとんど見られなくなった希少な技術だ。手先の感覚を頼りに、平面も曲面もゆがみなく仕上げていく。
 協和精工(秋田県羽後町)が、2005年に創設した腕時計の自社ブランド「MINASE(ミナセ)」は、美しい輝きと個性的なデザインが特徴だ。湯沢市の皆瀬工場で製造し、仙台三越など全国の百貨店などで販売する。価格は30万〜50万円程度が中心。秋田発の高級腕時計として愛好家の注目度も高い。
 最大の売りであるザラツ研磨には、時計1本当たり約250カ所、約5時間を費やす。細かい部品を研磨することで、時計全体がクリアに輝く。
 渡辺誠常務(56)は「研磨は時計の『顔』をつくる重要な作業。世界的にも貴重な技術で、3人が担当している。着実に継承していきたい」と語る。
 切削工具メーカーとして1963年に創業。翌年、腕時計製造用の工具開発をきっかけに時計事業へ参入した。部品加工や外装製造から徐々に技術の幅を広げ、96年からは国内外の有名メーカーを含む相手先ブランドによる生産(OEM)を手掛けてきた。
 ミナセには、ザラツ研磨を含め培った技を注ぎ込んだ。「100年後も語り続けられる時計」をコンセプトに掲げ、傷んだ部品だけを修理できるよう、本体部分やベルトなど全ての外装部品をバラバラに分解できる独自構造を採用した。
 性能とデザインでは、世界的なブランドに引けを取らない自負がある。渡辺常務は「いいものは作れる。今後は『どう売るか』が大事だ。ブランドイメージを高め、本場のヨーロッパでも勝負したい」と先を見据える。

◎ここに感心/高い理想新装置に挑戦

 オリジナルブランドの次は、自社製ムーブメント(駆動装置)の開発に挑戦しているという。外装とは全く違う技術。構想開始から10年以上がたち、来年ようやく新製品に搭載する計画だ。「これで正真正銘の腕時計メーカーになる」と渡辺常務。ものづくりへの高い理想を感じた。(保科暁史)


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2016年08月31日水曜日


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