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津波で全壊の寺 心のよりどころ再建へ

祝いの餅や小銭が振る舞われた浄土寺の上棟式=8月25日、仙台市若林区荒井神屋敷西

 東日本大震災の津波で全壊した仙台市若林区荒浜の浄土寺が、内陸側に約2キロ離れた同区荒井で本堂や書院、庫裏の再建を進めている。8月25日に上棟式を開き、檀家(だんか)や工事関係者ら約150人が出席した。「地域の心のよりどころ」は来年3月に完成する予定だ。
 再建先は、荒浜に通じる県道荒浜原町線沿いで、仙台東部道路に隣接する約2440平方メートルの敷地。高さ11.5メートルの本堂と書院、庫裏を合わせた延べ床面積は約650平方メートルとなる。県道を挟んだ北側に神屋敷北の防災集団移転先がある。
 震災で檀家約140人が犠牲になった。津波で本堂が全壊し、墓は倒された。本尊の阿弥陀(あみだ)如来はがれきの中から見つかり、今も修復作業が続く。
 震災後は元の敷地にプレハブの仮本堂を建て、震災犠牲者の霊を弔ってきた。市内の寺院では唯一、災害危険区域に入り、檀家の多くが荒浜を離れたことから移転を決め、適地を探してきた。
 浄土寺は1625(寛永2)年の創建。戦乱から逃れてきた3人の武士が農民となり、主君や祖先の霊を祭るため荒浜にいおりを結んだのが始まりとされる。
 上棟式では法要や餅まきなどを実施。中沢秀宣(しゅうせん)住職は「新たな地で391年の伝統を継承でき、胸がいっぱいだ。震災後の大変なさなかに協力いただき、感謝申し上げる」とあいさつした。
 檀家総代の松木武一さん(68)は「宗教法人は公費補助がなく、全国から頂いた見舞いが原資になった。震災でばらばらになった檀家にとって、寺は心のよりどころ。亡くなった方が帰ってくる場所もできる」と喜んだ。


2016年09月01日木曜日


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