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<台風10号>集落孤立 震える住民

鵜住居川の濁流で崩落した県道で始まった復旧工事=31日午後1時25分ごろ、釜石市橋野町

 台風10号上陸から一夜明けた31日、岩手県は釜石市橋野町で66世帯142人の孤立状態解消に向けて、鵜住居川の濁流で約70メートルえぐられた県道の復旧工事を始めた。
 崩落現場近くに住む主婦佐々木富美枝さん(51)は30日午後3時ごろ、鵜住居川の水位上昇に気付き、自宅2階に避難。約1時間後、地響きとともに県道が削られる様子を目撃した。
 東日本大震災で当時の自宅が流失した経験があり、「がらがらと大きな石が転がる音も聞こえ、長女が震災を思い出して泣いていた」と振り返った。
 同町青ノ木地区では電気と水道が止まり、市は水のペットボトル480本とカップ麺400食を避難所に提供した。避難所に身を寄せた無職佐々木かよさん(65)は「生きた心地がせず眠れなかった。川の氾濫が怖く、夜は避難所にいたい」と語った。経営する食堂にいた小笠原静子さん(74)は「食料や持病の薬がいつまで持つか、本当に心配だ」と話した。
 地区には世界文化遺産の橋野鉄鉱山があり、ガイドの三浦勉さん(64)は「県道は、ほかにも5、6カ所で損壊し、軽トラックで通るのがやっと。見学客は来ることができず大打撃だ」と肩を落とした。
 県災害対策本部によると31日正午現在、久慈市、岩泉町などで約700人が孤立状態となっている。床上浸水は大槌町の仮設住宅など9市町村92戸で確認。遠野市など6市町村33戸が床下浸水した。
 道路は宮古市花原市地内で決壊した国道106号など34路線が全面通行止めとなった。岩泉町全域と久慈市や普代村などの一部で断水の被害があった。
 交通機関も乱れた。JR東日本盛岡支社によると、31日は釜石線の遠野−釜石間、八戸線の鮫−久慈間、山田線の川内−宮古間で終日運転を見合わせた。三陸鉄道北リアス線は線路への倒木や土砂流入で始発から運休した。


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2016年09月01日木曜日


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