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<キラリこの技>段ボール 可能性広げる

工場内で特殊なシート加工を施したハニリアルボードを扱う従業員。棚には元の材料のペーパーハニカムが並ぶ
ハニリアルボードのパネルで組み立てられた緊急救命室

◎東北のものづくり(5完)神田産業(福島県須賀川市)

 梱包(こんぽう)材としての使い道が一般的な段ボール。そんな常識を覆し、段ボール素材の机や椅子、ベビーベッド、部屋を仕切るパーティションから、医療用の緊急救命室(ER)まで作り上げた。
 使う段ボールは、木材に負けない強度を誇るハニリアルボード。たたくとコン、コンと響く。「みんな驚きます」。開発責任者の石沢秀忠ハニリアル事業部営業技術部長(42)は笑う。
 1897年に材木商として創業。長年、梱包段ボールを製造してきた。転機は2010年。横山第3工場の建設計画と並行し、新しいものづくりを検討し始めた。
 着目したのは、輸出用の緩衝材などに使われるペーパーハニカム段ボールだ。蜂の巣(ハニカム)のような正六角形の芯材が並んだ内部構造で、国内では約20年前に米特許を取得した1社のみが製造していた。
 「軽くて強度がある特性をもっと生かせないか」。石沢さんの開発チームを中心に、ペーパーハニカムの改良に乗り出した。独自に開発したシートを貼り付けることで防音、断熱、耐水性を高めることに成功。家具なども作れるハニリアルボードに生まれ変わった。
 最初に商品化したのは個人用簡易防音室。「だんぼっち」の名称で13年11月に販売を始めた。1台約6万〜8万円程度で、これまで約2500台が売れた。
 今年7月末にはパネル組み立て型の感染症対策治療室を福島県立医大(福島市)に納入した。4.8メートル四方、高さ2.5メートルの2室連結型で、大人3人が1時間ほどで組み立てられる。災害現場での活用が期待される。
 石沢さんは「段ボールの新たな可能性を追求している。素材自体は紙なので運ぶのも簡単。さまざまな用途の商品を考えていきたい」と意気込む。

◎ここに感心/机や椅子作りしっかり

 机や椅子など数多くの段ボール素材の商品を展示した工場の一室。一つ一つの商品を紹介されるたびに、段ボールとは思えない、しっかりとした作りと仕上がりに驚いた。「すごいと言ってもらうのがうれしい。新商品開発の励みになる」と石沢さん。これからも、もっと驚かせてくれるに違いない。(山口達也)


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2016年09月01日木曜日


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