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<台風10号>楽ん楽ん遺族 悲しみの対面

遺体安置所から犠牲者のひつぎを遺族の車に運ぶ警察官=1日午後6時10分ごろ、岩手県岩泉町

 岩手県岩泉町乙茂の高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」で、台風10号の豪雨による濁流に襲われて死亡した9人の遺族らが1日、町内の遺体安置所で悲しみの対面をした。突然の悲劇に無念そうな表情を浮かべ、避難が遅れた施設の対応に不満もにじませた。
 入所していた母の曲沢アサヱさん(84)を亡くした長男の政春さん(58)=岩手県紫波町=は家族と共に安置所となっている体育館に入った。身元の確認を終え「台風被害は事故と言えば事故。そう思うと諦めがつく」と語った。ホームを訪れた8月14日が、母との最後の会話になった。
 「あまり話せなかったが、いつも笑顔を見せていた。楽ん楽んに入所できたことは、母にとって良かった」。涙を流す家族を慰めながら安置所を後にした。
 アサヱさんの弟の川村福松さん(75)も遠野市から駆け付け、「ただただ悲しい」と声を絞り出した。「何とか避難できたのではないかと感じている。これまでにない規模の台風だったが、施設側の対応にいろいろ問題があったのではないか」と複雑な胸中を明かした。
 1日夕には1人の遺体を収容したひつぎが遺族の車に運び込まれた。ひつぎを運んだ警察官は、深々と頭を下げて見送った。


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2016年09月02日金曜日


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