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<特例宿泊>原発事故5年半 浪江で始まる

ようやく泊まれることになった自宅の庭で談笑する岸さん夫妻=1日午後1時ごろ、福島県浪江町

 東京電力福島第1原発事故に伴い全町避難する福島県浪江町で1日、事故後初めて夜間滞在を認める特例宿泊が始まった。事故発生から間もなく5年半。町民は自宅でくつろいだり、町が用意した宿泊施設に入って自宅の片付けに備えたりした。
 宿泊できるのは比較的放射線量の低い居住制限区域と避難指示解除準備区域。町全体の約8割の5879世帯1万5440人(7月12日現在)が対象となった。
 栃木県那須町に避難する団体役員岸真さん(80)は妻の信子さん(81)と加倉地区の自宅に戻った。「わが家で過ごせる日を待ちわびていた。庭木の手入れが楽しみ」と笑顔で話した。
 宿泊登録は126世帯307人(8月31日現在)にとどまる。宅地除染と上水道復旧はほぼ完了したが、診療所や商業施設は建設中。荒廃したままの住宅も多く、町が来年3月を目指す帰還開始に向けた準備が進むかどうかは見通せない。
 町は自宅の修繕や片付けが間に合わないケースを考慮し、中心部の「ホテルなみえ」(32室)を借り上げて営業。素泊まり2000円で最大4泊できる。1日までに40人が予約した。
 馬場有町長は「復興への第一歩となる記念すべき日だ。2000日ぶりの浪江の空気を味わい、ゆっくり心の整理をしてほしい」と語った。国と町は来週からの戸別訪問で、宿泊者に生活上の問題点などを聞く。


2016年09月02日金曜日


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