広域のニュース

南あわじでむすび塾 語り部「備え怠らずに」

被災体験を語り、備えの大切さを説く千代川さん

 防災・減災キャンペーン「いのちと地域を守る」に取り組む河北新報社は3日、神戸新聞社(神戸市)との共催で、巡回ワークショップ「むすび塾」を兵庫県南あわじ市福良(ふくら)地区で開く。2日は関連の講演会「東日本大震災を忘れない」を福良地区公民館で開催し、岩手、宮城両県の被災者3人が家族らを失った体験を基に震災の教訓を伝えた。
 岩手県大槌町の観光ホテル社長千代川茂さん(63)は震災で兄と妹を亡くす一方、秋田県五城目町と井川町からの宿泊客43人を救った経験を紹介。「日頃から訓練に取り組んでいたからこそ、高台に避難誘導できた。『災害は必ず来る』と構えて備えを怠らないでほしい」と呼び掛けた。
 宮城県南三陸町の防災対策庁舎で大津波にのまれた町職員三浦勝美さん(54)は「荒れ狂う波の中から生還することはほぼ不可能」と強調。多くの同僚と義弟が犠牲になった悲しみと苦しみに触れ、「同じような思いは絶対してほしくない」と命の大切さを訴えた。
 仙台市青葉区の宮城大4年小沼早紀さん(24)は、58歳だった父を亡くした。仕事先の若林区荒浜で津波に遭い、帰らぬ人となった経緯を説明し「家が内陸でも沿岸に行く機会はある。災害に想定外はなく、普段から津波に注意する必要がある」と指摘した。
 南あわじ市福良地区は淡路島南西端にある。南海トラフ巨大地震で兵庫県内最大の8.1メートルの津波が想定されており、講演会に参加した住民約150人が熱心に聞き入った。2日は福良小で防災授業もあり、小沼さんが5、6年生約70人に被災体験を語った。


2016年09月03日土曜日


先頭に戻る