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<台風10号>ホーム運営法人 対応後手惨劇招く

 台風10号による豪雨被害で、9人が亡くなった岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の運営法人は、水害に備えた避難マニュアルを作成していなかった。過去にも施設周辺で浸水被害があったものの、教訓は風化していた。自治体が出す避難準備情報は、「要援護者の避難を始める段階」との定義も職員に周知されておらず、「避難は水が来てから」という油断が大惨事につながった。
 高齢者施設を設置する際の基準として、国は災害に対応した避難計画の策定を義務付けている。「楽ん楽ん」は火災想定の避難訓練はしていたが、水害の訓練には取り組んでいなかった。職員の役割分担や避難経路も定めていなかった。
 水害時は、隣接する3階建ての介護老人保健施設「ふれんどりー岩泉」の2階以上に入所者を避難させることを職員間で申し合わせていただけだったという。
 施設周辺では2011年秋、大雨で小本(おもと)川が氾濫。その際には入所者を「ふれんどりー岩泉」に避難させ、全員無事だった。
 施設を運営する医療法人社団「緑川会」の佐藤弘明常務理事は「水が上がってきてから避難しても間に合うと思っていた」と釈明。過去の経験が油断を招いた。
 施設側に防災知識が浸透していない実情も浮き彫りになった。町は要援護者の避難を促す避難準備情報を台風接近前の8月30日午前9時に出したが、佐藤常務理事は情報の定義を理解していなかった。
 県社会福祉協議会の右京昌久(あきひさ)事務局次長は「高齢者施設の防災基準は火災や地震対策が中心。自治体研修会で水害に触れることはほとんどない。洪水対策は立地条件を考慮して運営者が独自で取り組むしかないのが現状だ」と話す。


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2016年09月04日日曜日


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