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<角館のお祭り>事故教訓に伝統回帰

原点に戻り、安全対策に取り組む「角館祭りのやま行事」=2014年9月

 秋田県仙北市角館町で約350年続く「角館のお祭り」が7〜9日に開催される。曳山(ひきやま)と呼ばれる山車が激しくぶつかり合う「やまぶっつけ」を目当てに、県内外から約20万人が訪れる。しかし、昨年は無理な曳山の運行で1972年以来となる死亡事故が起きた。これを教訓に、従来の組織を改めて発足した実行委員会は、より伝統を重視した祭りへの回帰を図ろうとしている。
 角館のお祭りには独特のしきたりがある。各町内などが出す曳山同士がすれ違う際などは、どちらが先に動くかを相手と交渉する。話し合いが決裂した場合に行われるのが「やまぶっつけ」だ。曳山が他の町内に入る時には、地区の責任者「張番(はりばん)」の了解が必要となる。
 だが、近年は祭りを盛り上げようと故意に交渉を決裂させて「やまぶっつけ」に持ち込む例が出ている。さらに昨年の事故は、しきたりを無視して片方の曳山が一方的にぶつかっていったという目撃証言がある。
 「祭りはしきたりなどを学び伝える場でもある。何をしても許されるわけではない」。神明社宮司の戸沢裕一さん(51)は最近の風潮に苦言を呈する。
 荒れた振る舞いが目立ち始めた背景には、曳山数の増加が一つの要因に挙げられる。戦後8台だった曳山は97年以降、18台になった。戸沢さんは「引き手が不足して帰省時や町外から応援に来る人が多くなり、伝統やしきたりを理解しない参加者が増えた」とみる。
 死亡事故を受けて今年4月に発足した実行委は、安全対策を進めた。その一つが安全委員の新設だ。
 祭りに精通した37人が見回り活動をする。危険行為があった場合は参加者に直接注意せず、しきたりに従い、各町内の運行責任者や張番に伝えて改善を促す。このほか、祭りのしきたりやルールを記載したガイドブックを約30年ぶりに復刻し、各町内に配布した。
 祭り関係者の中には、伝統やしきたりを軽視し続ければ、祭りが衰退しかねないとの危機感が強い。
 実行委員長で木工所を経営する今野則夫さん(67)は「祭りは神事であり、参加者には氏子としての自覚を持ってほしい。伝統を大切にして事故のない本来の祭りに戻したい」と語る。

[角館のお祭り]武者人形や歌舞伎人形を載せた曳山が街中を練り歩く。神明社と成就院薬師堂の祭典に合わせて行われる。「角館祭りのやま行事」として、1991年に国の重要無形民俗文化財の指定を受けた。

[死亡事故]2015年9月9日未明に起きた。祭りを終えて各町内に戻る途中だった2台の曳山がぶつかった際、一方の運行に携わっていた男性会社役員=当時(52)=が曳山の間に挟まれて死亡した。


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2016年09月05日月曜日


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