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再生待つバス停出現 津波被災地に芸術家制作

荒浜の情報を記録・発信する「海辺の図書館」前に置かれたバス停のオブジェと作者の佐竹さん=仙台市若林区荒浜

 東日本大震災の津波を受け、災害危険区域に指定された仙台市若林区の荒浜地区にバス停のオブジェが出現した。一帯は更地となり、市バスの運行は休止のまま。制作した宮城県利府町の若手芸術家佐竹真紀子さん(24)は「荒浜には誰かが来るのを待っているかのような雰囲気がある。そのイメージをバス停で表現した」と語る。

 作品は赤地に白い字の丸い標識と案内板をポールに取り付けたもので、本物のバス停表示板そっくり。終点だった深沼や旧荒浜小など実際に停留所があった3カ所のほか、住民団体「荒浜再生を願う会」の集会所など2カ所にも設置した。
 標識には「深沼海水浴場(お休み中)」「またきてね 里海荒浜ロッジ」などと記され、訪れた人に優しく呼び掛ける。
 佐竹さんは宮城野高(宮城野区)を卒業し、震災当時は武蔵野美術大(東京都)の油絵学科の学生だった。芸術家の卵として、どう震災に向き合うべきか。悩んだ末、現地で直接メッセージを発信できるような作品が大切だと考えた。
 2012年夏から何度かバスで荒浜に向かった際、終点の深沼まで運行しないことが心に残った。大学院在学中の昨年9月、最初のバス停を完成させ、現地にこっそり置いた。
 最初に置いたバス停を機に大学院修了後の今春、再生を願う会のメンバーと交流を始めた。荒浜に寄せる思いがメンバーにも理解され、6〜7月、一気にほかの4作品を作って設置。今後も作品を増やすつもりという。
 佐竹さんは「バス停のオブジェを通して震災前の風景を思い起こしたり、住民活動の目印になったりすればうれしい。いつか運行が再開され、本物のバス停が復活してほしい」と願う。


2016年09月06日火曜日


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