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<台風10号>二次災害警戒 岩泉町に甘さ

台風被害から1週間が過ぎ、被災した家屋から家財を運び出す人たち=6日午前11時30分ごろ、岩手県岩泉町

 台風10号の豪雨被害は6日で1週間となり、直撃を受けた岩手県岩泉町で確認された爪痕は拡大している。台風接近時の初動や孤立状態となった集落の住民避難を巡っては、緊迫する県とやや緩慢な町との間で認識のずれが際立った。町内では15人が亡くなり、6人の安否が分かっていない。この1週間の町の対応を検証すると、危機管理の甘さと切迫感の希薄さが浮かび上がる。
 台風10号が上陸した8月30日、町は全域に避難準備情報を出した。午後2時には町北部の安家(あっか)地区の一部に避難勧告を発令した。
 伊達勝身町長は同日夕、小本(おもと)川近くに出向き水位を確認。町幹部と避難勧告の発令を協議したが、「大丈夫だろう」と判断。全域への勧告は出さなかった。
 県によると、氾濫した小本川の水位データを監視していた県岩泉土木センターの職員は、避難勧告発令基準に当たる氾濫注意水位の2.5メートルを超えた30日午後5時20分すぎ、電話で町に連絡。さらに上昇が予想されることを伝えたが、町側は「連絡があったかどうか確認中」としている。
 二次災害への切迫感を巡っては、県と町の考えがやや食い違っていた。道路の寸断で多くの集落が孤立状態となっていた3日、県は台風12号の接近に備え、孤立集落の住民を外に避難させるよう町に要請した。
 風早正毅県総務部長は「台風の後も天候が悪い状態は続く。できるだけ早く避難させたい」と早期の対応を強く働き掛けた。
 町が4日午前、全域に避難指示を出したことを受け、大規模な住民避難が始まるとみられたが、県の思惑は外れた。
 当初は5日までに602人を避難させる予定だったが、避難したのは156人で5日はわずか3人。結果的に321人が孤立状態の集落にとどまっている。
 被害がなかった自宅に残る安家地区の松ケ沢集落に住む中山則子さん(70)は「町から今後の方針について連絡はなく、急に避難するよう促されても動く人は少ないだろう」と話す。
 情報が正確に伝わらず、結果的に町民が危険性を十分に認識できなかった可能性がある。
 8日から9日にかけては台風13号の接近が予想される。伊達町長は6日の記者会見で再度の避難指示について「状況をみながら必要となれば出すが、避難を望む人の搬送はほぼ完了した。停電が続く集落には発電機を運ぶなど対応を検討している」と語った。


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2016年09月07日水曜日


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