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<宮城豪雨1年>震災と水害 2度の被災

冠水した大崎市古川西荒井地区で救助を待つ住民ら。電柱奥にある浅野さん宅も床上浸水した=昨年9月11日

 宮城県内に大きな被害をもたらした宮城豪雨(関東・東北豪雨)から、10日で1年になる。豪雨の再来とも言えるような台風や大雨が、今季も相次いで東北を襲う。被災者の心には、水の怖さと災害へのやるせない思いが今も残る。(加美支局・馬場崇、泉支局・北條哲広)

 宮城豪雨で鳴瀬川支流の渋井川の堤防が決壊し、約400戸が浸水した大崎市古川西荒井地区。自宅が床上浸水した会社員浅野由美さん(53)は、東日本大震災で気仙沼市の自宅を流され、この地に移り住んだ。
 昨年9月11日午前4時、風呂場やトイレの排水口から「ボゴボゴ」と大きな音がし、一気に黒い水が噴き出した。「30分前まで変化はなかった。津波と違い静かに水が忍び寄ってきた」
 愛犬のゴールデンレトリバーと外に出ると、胸まで水が迫った。車を諦めて水位が低かった近くの橋まで歩き、救助を待った。約1時間後、勤務先の介護事業所から同僚が車で駆け付けてくれ、助け出された。
 2011年3月11日、気仙沼市南町にあった3階建ての店舗兼自宅は、2階まで津波が押し寄せた。「津波だ」。消防団員の叫び声を聞き、高台に走って逃げた。愛犬と家族ともども九死に一生を得た。
 「海の近くはもう怖い」。震災約1年後の12年5月、西荒井地区に平屋の住宅を購入し、気仙沼市内のみなし仮設から移った。
 豪雨で家電はほぼ使えなくなった。壁と畳は張り替えたが床は費用が足りず応急処置。それでも改修を終えたのは昨年末で、それまで勤務先に借りたキャンピングカーで寝泊まりした。
 「内陸に移ったのに今度は水害。2度も被災するなんて」と浅野さん。今も台風が近づき雨が降ると、「不安で眠れない」。引っ越したいが、大型犬もいて簡単に新居は見つからない。
 一方で、世話になった勤務先への感謝から、こうも思う。「2度も生かされた命。災害で困っている人、同じような思いをした人のために役に立ちたい」

[宮城豪雨] 昨年9月10日夜から11日未明にかけて、宮城県内各地で河川の氾濫や堤防の決壊が相次ぎ、栗原市で2人が死亡した。住宅被害は全壊1棟、半壊480棟、一部損壊365棟、床上浸水179棟。県内の被害額は約306億円に上った。


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2016年09月10日土曜日


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