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<震災5年半>孤立防止へ新旧住民が融和

お茶飲みサロン「GBaの会」に集まり、世間話に花を咲かせるお年寄り=宮城県気仙沼市の南郷災害公営住宅の集会所

 東日本大震災の被災者が暮らす災害公営住宅は入居者の高齢化が際立つ。元の居住地が異なる入居者同士が新たな地で暮らす上で、コミュニティーをどう築き、孤立を防ぐか。入居者の自治活動と行政の支援、周辺地域との交流、連携の重要性が増している。
 宮城県気仙沼市で2015年1月、最初に入居が始まった南郷災害公営住宅は国道45号東の住宅街にある。スーパーや病院に近く利便性が高い。6階と10階の計3棟。167世帯287人が住み、高齢化率は52.6%と高い。
 6日、敷地内にある集会所に70〜90代のお年寄り20人が集まった。
 「おはよう。変わりない?」「まあ元気だよ」
 毎週火曜午前に開かれるお茶飲みサロン「GBa(じいばあ)の会」。この日は健康講話に体操、合唱と盛りだくさん。あっという間に2時間が過ぎた。
 サロンは昨年8月、自主的に始まった。代表の佐藤淑枝さん(73)は「週1回の楽しみ。みんなが元気か確かめる場になる」。編み物の会があり、料理やグラウンドゴルフの会も近く発足する。震災前は入居者の大半が一戸建て暮らし。当初は隣人の顔すら知らない状態だったが、入居者自身が知恵を絞っている。
 行政の取り組みで特徴的なのが、1階にある高齢者相談室だ。市が市社会福祉協議会に委託して生活援助員4人を平日常駐させ、困り事や悩みに耳を傾ける。
 原則月1回は全戸訪問。体調を崩した入居者の元には毎日のように通う。佐藤あけみ室長(62)は「病院やデイサービスに通う入居者は多い。家族から連絡を受け、急いで様子を見に行くこともある」と話す。
 生活援助員は周辺の仮設住宅の入居者のケアも受け持つ。市高齢介護課は「将来は対象を被災者に限らず地域の高齢者に広げることも考えたい」と説明する。
 地域住民らも協力的だ。既存の南郷1区、2区各自治会は勉強会などを開き、受け入れ態勢を整えた。
 14年の夏祭りには入居予定者を招いた。入居後、南郷住宅に発足した自治会を「南郷3区自治会」と位置付け、今年8月は夏祭りを3自治会合同で開いた。
 「同じ地区の仲間。交流を深めたい」と南郷1区自治会の伊東征吉会長(71)。地区には集会場がなかった。南郷住宅の集会所は3自治会共有で、新旧住民の融和を図る場になる。
 課題はまだある。サロン参加者はほぼ固定し、部屋にこもりがちな入居者とどう距離を縮めるかは難問という。昨年3月、70代の独居男性が誰にもみとられず亡くなった。
 南郷3区自治会の藤原武寛会長(50)には不満や要望が日々寄せられる。飲酒などで大声を出す人。喫煙や扉の開閉音。ごみ出しや駐車場の使い方一つでトラブルを招きかねない。藤原会長は「文句が出るのは関心があるから。怖いのは無関心。みんなでもっと暮らしやすくしたい」と語る。(報道部・庄子晃市)


2016年09月11日日曜日


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