岩手のニュース

<震災5年半>再建の旅館 豪雨が直撃

浸水した浄土ケ浜旅館の建物内。おかみの佐々木さんを中心に復旧に取り組む

 東日本大震災の津波で全壊し再建した岩手県宮古市築地の「浄土ケ浜旅館」が、台風10号豪雨で浸水被害に遭い営業休止に追い込まれた。10月1日に開幕する岩手国体で選手の宿泊所になっており、従業員らが一丸となって復旧作業に取り組んでいる。震災を乗り越え、今度は台風被害に立ち向かうおかみの佐々木美津子さん(68)は「最高の笑顔とおもてなしで選手を迎えたい」と張り切る。
 台風10号豪雨に襲われた8月30日、宮古市内は中心部などが大規模に冠水した。浄土ケ浜旅館は床上約80センチまで浸水した。2、3階の客室は無事だったが、調理室や宴会場、併設するレストランに泥が入り込み、営業できなくなった。
 震災では、現在の場所から約500メートル海側にあった旧旅館が津波で流された。現地での再建を目指したが、市の土地区画整理事業の区域内に入ったため移転。資金や土地の確保に苦労したが、ようやく2013年6月に再建できた。
 佐々木さんは「街の復興が進み、営業も順調だっただけに台風被害は悔しい」と語る。それでも、震災を乗り切った経験を生かし、「後ろを向いていても何も生まれない。皆でやれることをやるしかない」と従業員に呼び掛けた。
 台風の翌日から総出で泥をかき出した。水に漬かった畳を剥がし、調理室は洗浄して消毒した。泥が付いた壁も貼り替えを進める。レストランは当面休止するが、仕出し弁当の販売は20日に再開する予定。
 宮古市は岩手国体で、レスリングとセーリングの競技会場になる。旅館には選手やコーチが27日から宿泊する予定。それまでに宿泊業務も再開する計画だ。
 震災被災地で初の開催となる国体は復興支援への感謝を伝える大会にもなる。佐々木さんは「ここまで復興し、もっと良くなる宮古を見てほしい。お世話になった皆さんに感謝を伝えられるよう、しっかりと復旧させたい」と決意を語る。


2016年09月11日日曜日


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