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<震災5年半>共用空間つくり交流を

本間照雄(ほんま・てるお)宮城県加美町生まれ。県職員として福祉部門に長年勤務する傍ら東北大大学院に入学。文学研究科博士課程単位取得退学。県北部保健福祉事務所副所長兼地域保健福祉部長などを務め、11年3月定年退職。11〜14年、南三陸町福祉アドバイザー。16年2月から現職。66歳。

 東日本大震災の被災者が暮らす災害公営住宅は、長い仮設住宅暮らしを経て、たどり着いた安住の地。高齢化率が高く、独居世帯も多い中、コミュニティー再構築の鍵は何か。宮城県社会福祉協議会復興支援福祉アドバイザーとして、気仙沼市や南三陸町などで活動する東北学院大地域共生推進機構の本間照雄特任教授(福祉社会学)に聞いた。(聞き手は報道部・藤本貴裕、庄子晃市)

 調査結果は四半世紀後の東北の姿だ。例えば宮城県の37.8%。国立社会保障・人口問題研究所の2040年の県推計人口による高齢化率36.2%に近い。
 独居世帯が多い。高齢者が自助努力だけで暮らすには生活基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。被災した沿岸部では、基盤がもろくても生活できた。暮らしを支えるコミュニティーがあったからだ。被災者はそこから放り出された。
 集合住宅タイプの災害公営住宅は構造上、内と外の中間地帯がない。鉄扉1枚で閉ざされてしまう。「最近どう?」と声を掛け合ってきたのに、急に頑丈なマンションで都会暮らしを強いるようなものだ。
 三陸沿岸は平場の土地が狭く、集合住宅タイプはやむを得ない。ならば、どうデメリットをなくすか。
 コミュニケーションの場となる中間地帯が重要だ。話に花を咲かせる「縁側」のような共用空間をつくる。集会所、エレベーターホール、小さな公園。人と人がクロスする場がほしい。
 高齢化率が5割を超える所もある。数年後、自治の担い手はいなくなる。地域に元々住む住民との融合がポイント。災害公営住宅の周辺地域を含めた自治組織づくりを提案している。
 19人の孤独死が気になる。独居世帯が多い以上、誰にもみとられずに死亡するのを防ぐのは無理。ただ、何日も発見されない事態は避けなければならない。積極的に声を掛けるべきだ。隣近所による見守りは99%が無駄な結果に終わるが、1%は異変を発見できる。
 行政の役割は引き続き大きい。災害公営住宅は極端に偏った人口、世帯構成だ。自助努力だけでのコミュニティー形成は難しい。せめて10年の復興計画期間は支援すべきだ。隣近所の関係は一朝一夕にできない。あと数年は孤立防止策、自助の基盤づくりを支えてほしい。
 「自治組織が設立したら行政の支援は終わり」では困る。既存の他の自治組織に配慮し、行政は設立後の支援には及び腰。それは悪平等というものだ。
 入居者にも覚悟を求めたい。コミュニティーづくりは煩わしいものだ。ごみ拾いや行事への参加。わずかな面倒くささを共有し、地域に愛着や誇りを持つことが大前提になる。


2016年09月11日日曜日


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