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<震災5年半>災害公営住宅 高齢社会の未来映す

 岩手、宮城、福島3県の災害公営住宅入居者の高齢化率は38.9%で、各県全体の割合に比べ1割超も高い実態が明らかになった。災害公営住宅は、高齢化が進展する地域の将来の姿を映し出したと言える。
 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2050年の全国の高齢化率は38.8%。災害公営住宅の現状は、5人に2人が高齢者という34年後の姿と重なる。
 日本全体が避けて通れない高齢社会の課題を考える上で、災害公営住宅は地域の先進モデルになる。「被災者が災害公営住宅に入居したから復興した」ではなく、行政は入居後も、高齢者対策に一層力を入れる必要がある。
 その意味で、被災した高齢者への対応は、被災者支援から一般の福祉施策に移行する過渡期に差し掛かっていると言えよう。災害公営住宅への入居が本格的に始まったのは13年。3県の整備率は60%に迫り、8市町村が整備を終えた。仙台市は今年3月、復興事業局を廃止。本年度限りで被災者支援の専門部署を廃止する自治体もある。
 行政にはコミュニティー形成、見守り活動の強化など息の長い取り組みを求めたい。災害公営住宅をモデルケースとし、立地する地区の町内会など元々暮らす住民との交流、連携を今から進めるべきだ。限られた復興予算に代わる財源の確保も課題になる。
 貧困対策の充実も必須だ。調査では生活保護の受給世帯が3県で少なくとも772あった。うち宮城県は528で、入居する100世帯当たり5.1世帯の計算になる。県平均(2.1世帯)の倍以上だ。
 被災者は不条理に古里を奪われ、コミュニティーを寸断された。災害公営住宅を地域とともに共同体に育て上げ、年代や地域を越えて共生する。被災地は、そうした将来を見据えた社会を構築するスタートラインに立っている。(解説=報道部・藤本貴裕)


2016年09月11日日曜日


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