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<手腕点検>専行を避け市民目線で

地元出身の漫画家の版画の寄贈を受け、目録を受け取る布施市長(左)。芸術文化を通じた教育にも力を入れる=6日、登米市役所

◎2016宮城の市町村長(9)登米市 布施孝尚市長

 9町合併で登米市が誕生した2005年。43歳で初当選を果たした布施孝尚市長(55)は、当時県内の最年少首長だった。行政も政治も未経験という歯科医からの転身だったが、「そつない」行政運営で3期目は残り半年。次期市長選の態度は表明していないが、「意欲は十分」とみられる。
 1期目は合併に伴う建設事業、2期目は企業誘致中心にまちづくりを進めた。3期目は人口減少抑制の施策に乗り出した。市内のコールセンターが14年に閉鎖し、失業問題が生じた際は、トップセールスで別のコールセンターを誘致した。
 市民の市政参加を促す「協働のまちづくり」に当初から取り組む。移動市長室開催など、市民の声を聴く姿勢を評価する声は多い。

<人の話じっくり>
 「独断専行にならず市民目線でやっている」と後援会幹部。市議会各会派は布施氏とは是々非々のスタンスだが、会派「登米フォーラム」代表の伊藤栄市議(65)は「人の話をじっくり聞き、納得すれば動く。周囲を引っ張るタイプとは違う新しいリーダー」とみる。
 一方で、そつない協調型の手法に物足りなさを感じる向きもある。
 東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された稲わらなどの廃棄物処理が遅れ、一時保管が続く。保管場所近くの農業男性(66)は「難題で国に責任があることは分かる。ただ住民を守るんだという力強い姿勢が欲しい」と漏らす。
 ほかの関係自治体の首長が、汚染牧草の堆肥化の実証実験に取り組んだり、窮状を外部に強く訴えたりするのに比べ、布施氏の冷静さが際立つと感じるようだ。合併前の旧中田町の元町議は「外部にアピールする行動力がもっとあればいい」と注文する。

<新庁舎建設 遅れ>
 意思決定の早さを求める声もある。市が14年度に掲げた市役所新庁舎建設構想は、予定地が決まっていない。市議会特別委員会の議論が遅れたのに加え、布施氏も昨年12月の記者会見などで「多くの意見を聞いてから」と慎重な姿勢を見せ、日程は1年ずれ込んだ。
 来年5月以降に建設地を含めた基本計画を示す市の方針に、氏家英人市議(52)は特別委で「市長選前に市長の政治判断で決めるべきだ」と指摘した。3年前の市長選の公約にはなかった新庁舎建設。地域対立の芽をはらむ予定地の問題を避け、布施氏が4選出馬に臨むことを氏家市議は疑問視する。
 旧東和町長の浅野敬市議(79)は「失敗を恐れているのか決断力不足。自身の考えが見えないのも残念」とかじ取り全般に苦言を呈す。
 市長にこれという失政は見当たらない。それでも市民が注ぐ視線は1、2期目の時より厳しい。(登米支局・本多秀行)


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2016年09月11日日曜日


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