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津波犠牲現場に咲いた1輪 株分けしアートに

花の周囲をカプセルで囲む美香さん(右)と生徒たち

 東日本大震災の津波で犠牲となった宮城県石巻市の幼稚園児佐藤愛梨ちゃん=当時(6)=の被災現場に咲いていた白い花を株分け・植栽し、アート作品化するイベントが9日、仙台市泉区の東北生活文化大高であった。遺族の支援者で、企画した利府町の美術家すがわらじゅんいちさん(52)は「植栽の輪を広げ、命の大切さを伝えたい」と話す。
 イベントには生活美術科の生徒ら約80人が参加。中庭に花の苗8株を植え、周囲を「カプセルシード」と呼ばれる工作物約1000本で囲むインスタレーションで表現した。愛梨ちゃんの母美香さん(41)も一緒に植えた。
 カプセルシードは容器と棒で構成され、容器部分に生徒らが願い事を書いた紙が入っている。素材は全て水溶性で、1〜2週間で雨で溶けて土に染み込むという。「関わったみんなの思いを栄養として花が育ってほしい」との意図がある。
 白い花はマーガレットとみられ、すがわらさんが昨年5月に現場で黙とうをささげた際に見つけた。「愛梨ちゃんの分身のよう。彼女の生きた証しとして残したい」と思い、1輪を持ち帰り自宅で育てたところ、2月に開花した。
 すがわらさんが代表のプロジェクト実行委員会が増殖に取り組んでいる。花は「あいりちゃん」の名前で先月、商標登録が決まった。今後、同市などに整備される復興祈念公園にも植栽を広げたい考え。
 「アートの力で震災の風化を防ぎたい」とすがわらさん。美香さんは「大勢の若い人たちが関わってくれてうれしい。娘のようにかわいらしい花を咲かせてほしい」と話した。


2016年09月10日土曜日


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