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<台風10号>岩泉で長引く断水 高齢者悲鳴

断水が続き、毎日湧き水をくむ有原さん。「復旧の見通しが立たないことが一番つらい」と話す=10日、岩手県岩泉町

 台風10号豪雨の被害から2週間となる岩手県岩泉町で、一部世帯の断水が長引いている。町は給水で対応するが、水くみ場が遠かったり、給水車の巡回情報が伝わらなかったりして、1人暮らしの高齢者らが水の確保に苦労している。
 町役場から車で10分ほどの岩泉地区の尼額(あまひたい)では取水源が破壊され、115世帯で断水が続く。住民257人が給水に頼る。
 1人暮らしの無職有原満子さん(77)は「給水車がいつ来ているのか分からない」とこぼす。毎日、自宅から約200メートル離れた湧き水のくみ場との間を5〜6往復する。
 水を入れるのはプラスチック製衣装ケースの引き出し。車いすに積んで向かい、バケツで水をくむ。帰り道は坂や砂利道で車いすが揺れ、ケースから水があふれることもある。
 風呂には入れず、絞ったタオルで体を拭いている。近くに身寄りはなく、膝を痛めていて遠出はできない。「50年以上住んでいるが、ここまで大変な思いをするのは初めて」と復旧を心待ちにする。
 岩泉町の水道は12日現在、全3713戸の約2割に当たる726戸で断水となっている。断水戸数は減っているものの、破損した配水管の上にがれきや流木が堆積し、復旧作業が難航するケースもある。
 近くに住む農家の主婦(59)は高齢の父親と暮らす。飲み水を求めて支援物資がある避難所に電話で問い合わせると、「家屋が浸水被害に遭っていない人は対象外」と言われた。
 「農家なので野菜はあるけど、飲み水は買いに行かなきゃならない」。車はなく、唯一の移動手段である自転車で3キロ離れたドラッグストアに向かった。
 物資を管理する町税務出納課によると、配給は集落の自治会でつくる地域振興協議会が世帯ごとに必要な支援を聞き取り、報告を受けた町が配布する。
 ただ、協議会はボランティアで「地域ごとに温度差があり、被害を受けた人もいる」(同課)と十分に機能していない。町保健福祉課は「人手が足りない分はボランティアを活用し、個別のニーズを拾い上げるようにしたい」と説明する。


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2016年09月13日火曜日


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