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<台風10号>住民と道路復旧 牧場が出荷再開

出荷に向け牛乳を瓶詰めする中洞牧場のスタッフ=岩手県岩泉町(中洞牧場提供)

 放牧牛を自然の草で育てる「山地(やまち)酪農」を実践する岩手県岩泉町上有芸の中洞(なかほら)牧場が、台風10号の豪雨で寸断された道路を地域住民と共に復旧し、出荷を本格化させている。濃厚な味の牛乳は全国で人気がある。牧場長の中洞正さん(64)とスタッフは自慢の乳製品とともに、復旧を目指す岩泉を発信する。
 8月30日の豪雨による川の氾濫で、牧場から西に延び県道に続く道路が約200メートルにわたって崩れた。それ以外の道も土砂や倒木で通行できなくなり、孤立状態となった。
 東京や名古屋に直営店があり、百貨店などの卸先も首都圏が中心だ。中洞さんは「商品を2週間以上届けられなければ販路を失う恐れがある」と判断。スタッフと協力して今月1日、車両1台が通れるように県道へ向かう道を自前の重機で修復し始めた。
 復旧を待つ間も牛の世話は欠かせなかった。牛乳は搾り続けないと乳房炎になったり、乳を出さなくなったりする。40頭から毎日約300リットルを搾っては廃棄した。
 5日にヨーグルトの出荷を再開。8日には牛乳やプリン、アイスクリームなどほぼ全ての商品を出荷できるようになった。交通網の混乱やドライバー不足で集荷は頼めず、宮古市の運送会社にスタッフがワゴン車で運ぶ。
 全国の消費者から牧場や町の状況を問い合わせる電話やメールが相次ぐ。「待つ人がいる。それがスタッフの一番の励み」と中洞さん。被災を乗り越え、「メイド・イン・岩泉」を全国に送り届ける。


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2016年09月16日金曜日


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