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<台風10号>サケふ化事業 深刻ダメージ

大量の土砂が流入し、壊滅的な被害を受けた下安家ふ化場=14日、岩手県野田村

 台風10号豪雨が岩手県のサケふ化事業に深刻な打撃を与えている。県によると、ふ化場20カ所のうち下安家(あっか)ふ化場(野田村)など4施設が浸水や土砂流入で壊滅的な被害に遭った。採卵に必要な秋サケの回帰ピークとなる11月までの再開は難しい状況だ。県が来春の放流を予定する稚魚は4億30万匹で、4施設はその2割以上を生産する計画だったため、県は割り当ての見直しを迫られる。
 下安家ふ化場は施設全体が浸水し、大量の土砂や流木が堆積している。運営する下安家漁協の島川良彦組合長は「東日本大震災を上回る被害だ。サケはたくさん上がって来るのに何もできず、収入源を失った。3〜5年先の収入にも響くだろう」と途方に暮れる。
 県によると、浸水や損壊の被害に遭った県内のふ化場は10施設。このうち下安家、県営県北(野田村)、松山(宮古市)、小本(おもと)(岩泉町)は泥のかき出しや電気設備の復旧が進まず、本年度中の稼働が難しい。
 4施設の生産数は計約8880万匹で、ふ化できない場合、県全体の放流計画は大きく後退する。
 県は、県さけ・ます増殖協会など関係団体と協議し、4施設分の卵を稼働可能な近隣のふ化場に割り当てることを検討する。
 受け入れには限度があるため、ふ化した稚魚をすぐに放流して飼育期間を省くなど、作業の負担を少なくする方法を練っている。
 県内のサケの稚魚放流数は、震災の津波でふ化場が被災して落ち込んだ2012年の2億9100万匹から徐々に回復し、14年以降は4億匹前後で推移している。
 県水産振興課の中井一広振興担当課長は「サケは県の水産業で最も重要な魚種。稚魚を放流できないと4年後に回帰する主力の4歳魚に影響する。関係団体と協力し、計画通りに採卵して放流できるよう努める」と話す。


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2016年09月17日土曜日


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