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<あなたに伝えたい>好きだった花に面影重ねる

勝子さんが好きだったクリスマスローズの苗を手入れする清次さん

◎高橋清次さん(宮城県山元町)から勝子さんへ

 清次さん 5年半前のあの日、家内を勤務先の養護老人ホームに送っていきました。「夕方、いつもの時間に迎えに来るよ」と声を掛けたのですが、かないませんでした。
 自宅で地震に遭い、5歳だった孫の茉唯を守るのに必死で、津波のことまで頭が回りませんでした。翌朝、自宅近くに流れ着いた冷蔵庫を見て大変驚きました。
 家内は看護師、私は管理栄養士。同じ病院で働いていて出会いました。人の悪い話は口にせず、控えめで周りに気を配る一方、北海道や九州へ山登りに出掛ける行動力もありました。
 私のよき理解者で、打ち込んでいた労働組合の活動を常に支えてくれました。自宅には来客も多かったのですが、嫌な顔一つしませんでした。本当に感謝しています。
 最期の様子はよく分かっていません。仕事への責任感から、お年寄りを置いて逃げることはできなかったのでしょうね。対面したとき、いつもと変わらない表情だったのが救いです。捜している間、変わり果てた姿の遺体をたくさん目にしましたから。
 震災の翌月、茉唯は小学生になりました。早いもので、来春は中学生です。おばあちゃん子だった茉唯は毎日、仏壇にお茶を供えて手を合わせています。初孫の成長した姿に、きっと目を細めていると思います。
 好きだったクリスマスローズは毎年、命日の頃に盛りを迎えます。木陰でひっそりと下を向いて咲く花は、まるで家内のよう。花の時期には面影がよみがえり、胸が熱くなります。

◎控えめで気配りを欠かさなかった妻

 高橋勝子さん=当時(69)= 宮城県山元町の沿岸にあった養護老人ホーム「梅香園」で看護師として勤務中、津波に襲われた。同町高瀬の自宅に夫清次さん(80)、長女静さん(45)、孫の茉唯(まゆ)さん(11)と4人で暮らしていた。梅香園では入所者と職員計63人が犠牲になった。勝子さんは約20日後、施設内で遺体で見つかった。


2016年09月18日日曜日


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