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<準備宿泊>わが家で笑顔 心リフレッシュ

「古里はやっぱりいいね」。自宅からのどかな景色を眺める渡辺さん夫婦=17日、福島県富岡町

 広い窓から緑あふれる庭先を眺めると、夫婦に笑みがこぼれた。「家に帰ると気持ちがリフレッシュするね」。
 福島県富岡町で準備宿泊が始まった17日、渡辺靖さん(75)、禎子さん(69)夫婦は避難先の仙台市若林区から同町上郡山清水地区のわが家に戻った。
 仙台の避難先は交通量が多い場所にあり、目の前がコンビニ。窓を思い切り開けることもはばかられ、息が詰まる思いもした。富岡の自宅はのどかな農村部にある。靖さんは早速トラクターで畑の除草を始めた。
 禎子さんは満載の車から荷物を下ろし、テーブルいっぱいに並べた。野菜や果物に加え、もち米も。9月20日は約20年前に82歳で他界した父親の命日。「お墓参りに行くからお赤飯を作らなきゃ」と張り切った。
 隣の岩井戸地区で準備宿泊を申し込んだ渡辺達生さん(67)は町の農業復興組合の副組合長。除染後の農地の保全のために除草作業に汗を流す。
 3日に1度の割合で避難先の郡山市から足を運んでいた渡辺さん。「片道2時間の運転がなくなるのは、精神的に楽になる」。自宅の母屋は3月に解体。倉庫で寝泊まりできるが風呂が使えないため、準備宿泊初日は町が用意したビジネスホテルを利用した。
 「頻繁に戻って作業する姿を周りの人が見てくれることで、前向きな気持ちになってくれればいい」
 住民の姿がまばらな地域で、草刈り機を手に連日のように飛び回る。避難指示が来春解除されれば、自宅を再建して戻るつもりだ。


2016年09月18日日曜日


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