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<手腕点検>手堅さ評価 発信力懸念

東京混声合唱団を招いた芸術祭で拍手を贈る萩原村長(中央)=8月26日、大衡村大衡中

◎2016宮城の市町村長(10)大衡村 萩原達雄村長
 2015年3月、大衡村は跡部昌洋前村長(67)の女性村職員に対するセクハラ騒動で揺れた。同年4月の出直し村長選で接戦を制した前村議会議長の萩原達雄村長(68)が掲げる村政の信頼回復は道半ばだ。跡部路線を大筋で継承する萩原氏の手腕には、手堅さの評価と発信力の弱さの指摘が相半ばする。
 「村長選では改革を訴えていたが、前と変化を感じない」。村内で農業を営む60代男性は嘆く。村職員らからは飾らぬ人柄に「役場が明るくなった」との声も聞かれるが、当選5回のベテラン村議だったこともあって「手堅いが、新鮮味はない」との本音も漏れる。

<「ブレーン不在」>
 萩原氏は「前村政を全否定するつもりはない。是々非々だ」と強調。村に本社を置くトヨタ自動車東日本など誘致企業の従業員の定住促進や子育て支援に重点を置く姿勢を見せる。村中心部の塩浪地区では住宅団地造成に着手。粉ミルクや紙おむつ代への助成拡大といった重点分野でも実績を積み重ねる。
 しかし、村長選で言及した村長の多選禁止条例の制定や町制移行の検討は事実上、棚上げの状態。住民が変化を感じづらい状況にある。
 「元議員とはとても思えないほど議会対策ができていない」。当選6回のベテラン山路澄雄村議(67)は注文を付ける。萩原氏が村議会への十分な事前説明がないまま一部の議案を提出しようとしたことなどを例に挙げ、山路氏は「信頼できるブレーンがいない。まずは住民や職員、議員らと交流、連絡を密にしてはどうか」と促す。
 村井嘉浩知事とのパイプを前面に、トヨタの村内誘致を実現させた跡部氏の行政手腕と比較されることも多い。当選3回の文屋裕男村議(72)は「萩原氏は発信力が弱い。トップセールスは前村長と雲泥の差。国や県とのパイプがなく、どう働き掛けていいか分からず孤立しがちだ」と手厳しい。

<「評価まだ早い」>
 就任から1年半。期待する声もある。「あのセクハラ騒動で村は大きく傷ついた。萩原氏には負の側面を拭い去ってほしい」。東京都内で広告代理店を営むイベントプロデューサー遠藤茂氏(68)は期待する。
 村出身の遠藤氏は、大衡中で萩原、跡部両氏と同級生だった。その縁で萩原氏の要請を受け、8月26日に初めて東京混声合唱団を村に招いた芸術鑑賞会開催に協力した。
 今後も芸術面で村を支援していくという遠藤さんは訴える。「萩原氏は学校で決して目立つ存在ではなかったが、その後実績を積んだからこそ今がある。評価するのはまだ早い。村はもっと変わることができる」(泉支局・北條哲広)


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2016年09月19日月曜日


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