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<会津高2自殺1年>父「確かな事実認定を」

仏壇の前に座る父親。「自分たちの事例を通じ、さまざまな立場の人がいじめについて真剣に考えてほしい」と話す

 福島県会津地方の県立高2年だった女子生徒が校内で自殺しているのが見つかってから19日で1年が経過した。県教委の第三者委員会が2月にまとめた報告書は、いじめがあったとしながらも自殺との直接的な因果関係を認めなかった。現在は遺族の申し立てを受け、県が再調査を進める。生徒の父親は河北新報の取材に答え、再調査への思いなどを語った。(聞き手は会津若松支局・跡部裕史)

 −この1年間に対する思いは。
 「なぜなんだろうということが頭から離れません。まだ死を受け止められずにいます。精神的に厳しく、仕事は辞めました。『ただ生きているだけ』と思うことがあります」

 −県教委の報告書をどう読みましたか。
 「全く分からなかったことを明らかにしてもらい、第三者委員会には敬意を表します。でも、自死といじめとの直接の因果関係を認めなかったのは疑問です」
 「情報公開は進んでいないとも感じました。私たちに開示された報告書は、マスコミや一般人に渡されるのと同じで、(いじめを含む詳しい内容は)マスキングされていました」

 −再調査に望むことは。
 「報告書の疑問点をきちんと調べ、確かな事実を認定してほしい。成績の悩みが自死の一因とされましたが、それで娘が死を選んだとは全く思いません」
 「県教委は自死までの数カ月間、娘といじめた生徒の接触がないことを、自死といじめとの因果関係を否定する理由にしています。しかし、精神的な病は時間がたって発症する場合があると聞きます。それ以外にも、娘の性格に関する記述や学校の対応など疑問が多い。さまざまな視点で検証してほしいです」

 −どんなお子さんでしたか。
 「とてもいい子でした。周りのことを考えて行動できる。韓国のことわざ『行く言葉が美しければ、来る言葉も美しい』のように、自分が努力すれば相手も変わると思っていたようです。毎朝、2人で歩いていて、会う人にあいさつしているうちに、向こうから『おはよう』と言ってくれるようになったのを思い出します。将来は先生になりたいと言っていました」

 −自死の兆候は。
 「分かってやれませんでした。自身がいじめられた経験のある知人から『子どもは親に心配掛けまいと、いじめを悟られないように努力する。分からないのが当たり前』と慰められましたが、自責の念に駆られます」

 −全国でいじめによる自殺が後を絶ちません。
 「いじめは誰にでも起こり得ます。親、学校、地域が視点を広く持って問題を考えないと、なくならないでしょう。他者を認める勉強が大切だと思います」

[会津・女子高生自殺]会津地方の福島県立高2年の女子生徒が2015年9月19日午前4時ごろ、校内のトイレで自殺しているのが見つかった。県教委の第三者委員会は今年2月の報告書で、文化系部活動の先輩1人の厳しい叱責(しっせき)や辛辣(しんらつ)な言葉、無視などの行為をいじめと認定。ただ学業不振などの悩みも影響した可能性があるとして、自殺との直接的な因果関係を否定した。遺族は3月に県に再調査を申し立てた。再調査では常設の県の「いじめ問題調査委員会」が遺族から意見聴取するなどしている。


関連ページ: 福島 社会

2016年09月20日火曜日


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