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<世界津波の日>防災啓発へ国際連携の一歩に

東北、ハワイ両地域の研究者らが参加した「世界津波の日」のプレイベント=16日、米ハワイ州ホノルルのハワイ大

 今年初めて迎える国連の「世界津波の日」(11月5日)を記念したプレイベントが、米ハワイ州ホノルルのハワイ大で15〜17日にあった。津波多発地帯の東北とハワイから研究者らが集い、東日本大震災を踏まえた津波研究の知見や防災・減災の取り組みを共有した。国境のない災害といわれる津波。被害軽減に向け、国際連携の意義を確かめる第一歩となった。(報道部・藤田和彦)
 「Tsunami」は世界共通語。世界津波の日は「World Tsunami Awareness(意識) Day」と称される。津波の脅威を知って対策の推進に生かそうと昨年12月に制定された。イベントでは、市民への浸透を目指し、講演や討論を通じ津波の実相に迫った。
 主催した東北大災害科学国際研究所とハワイ大マノア校の研究者が、津波のメカニズムや、米アラスカのアリューシャン列島で起きる地震がハワイに及ぼす「遠地津波」などを解説した。研究者とメディアの連携も議題とし、学術の成果を津波防災に生かす報道の役割に期待が寄せられた。
 災害研が制作に関わったドキュメンタリー映画「大津波 3.11未来への記憶」も海外初上映され、高い関心を集めた。市民の約300人が被災者の暮らしや被災地の移り変わりを描いた映像に見入った。
 5年半前の「3.11」はハワイの人たちにとってまだ記憶に新しいという。参加者に尋ねると「ハワイでも警報が鳴り響いた」「日本の津波映像に衝撃を受けた」との答えが返ってきた。「日本とは昔から深い関係。助けたい思いにかられた」と振り返る人もいた。
 一方、「11.5」の認知度はいまひとつだ。
 マノア校のデニス・コナン社会科学学部長は「市民への広報が重要」と指摘。太平洋津波博物館(ハワイ州ヒロ)のマリーン・マレー館長は「世界的な啓発機会ができるのは素晴らしい」と今後に期待した。
 災害研所長補佐の小野裕一教授(国際防災政策)は「震災の経験を他地域や次世代に伝えるのは東北の重要な責務だ。津波防災の啓発に積極的に活用したい」と意欲を語った。
 世界津波の日を受け、約30カ国の高校生約400人が一堂に会する「高校生サミット」が11月25、26の両日、高知県黒潮町で開かれる。仙台市では来年11月25〜27日に「世界防災フォーラム(仮称)」が予定され、国際的な催しが続く。
 その先駆けとなったプレイベントに東北の関係者が関わった意義は大きい。次に起きる津波災害に震災の経験と教訓をどう生かすのか。11.5を、3.11と並ぶ発信の好機と捉えたい。


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2016年09月24日土曜日


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