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九州7県で観光に力 県境越え素材補い合う

九州観光推進機構が開いた説明会後の相談会。各県のブースに旅行業者が詰め掛け、熱心に意見交換した=1日、仙台市青葉区のホテル

 九州7県の官民でつくる九州観光推進機構が、県境を越えた広域観光に力を入れている。今月1日には仙台市内で旅行業者向けの説明会を開き、観光素材を一体的にアピールした。広域観光で先行する九州と、緒に就いたばかりの東北の取り組みを探った。(報道部・村上浩康)

<にじむ本気度>
 7県の自然を楽しむ17のトレッキングコースや競合する航空会社15社が手を組んだ大型キャンペーン。温泉、歴史遺産をテーマにしたウェブサイトの数々。1日の説明会で紹介された取り組みに「九州はひとつ」の本気度がにじんだ。
 東北の参加者の反応は「九州全体のタイムリーな情報が分かる」と上々。一方で「東北も県境をまたいだPRをもっと広げてほしい」との声が漏れた。
 九州機構は2005年に発足した。機構の原田弘司国内誘致推進部長は「かつては『おらが県』の意識が強かった」と明かす。だが、国内外でのPR活動を重ねる中で「まずは島国九州に来てもらうことが大事」(原田部長)と意識が変化。各県が素材を補い合う連携が進んだという。
 火山が生んだ景観が見事な高千穂峡(宮崎)を売り込む場合、宮崎空港より近い熊本空港を使ったルートを紹介。宮崎空港を使った観光ルートとしては、宮崎県内に全国区の温泉地がない代わりに、霧島温泉(鹿児島)と連携したツアーの企画も可能になった。
 公益社団法人ツーリズムおおいた(大分県)の山本宏司国内誘致部長は「観光地が点から線、面になる。全体でPRするメリットは大きい」と話す。

<震災で足踏み>
 国は13年、機構が申請した「九州アジア観光アイランド総合特区」を認定。ビザ発給などの規制緩和が進んだ。東アジアに近い地の利もあり、九州の昨年の外国人延べ宿泊者数は69.0%増の548万人を記録。一方の東北は47.2%増えたが59万人にとどまる。
 東北観光推進機構は07年発足。事業が軌道に乗り始めた11年に東日本大震災が起き、東北の観光産業はしばらくの間、足踏みを強いられた。
 機構の紺野純一専務理事は「東北は県や市町村単位のPRが中心で連携の歴史が浅いのは確か。だが各県の意識は少しずつ変わってきた」と言う。
 機構の会長に15年、清野智JR東日本会長が就任。JRや航空会社の出身者が事務局を固め、広域観光による外国人客拡大に焦点を絞った施策を打ち出す。
 「日本の奥の院・東北探訪ルート」が15年、観光庁の訪日外国人向け広域周遊ルートに認定された。今年8月に6県知事らが台湾に出向いた合同トップセールスを実現させるなど、成果が少しずつ見え始めた。
 「九州のような『オール東北』の土台を固めるには今後2、3年が大事。機構が各県をつなぐ役割を果たし、重層的なプロモーションを展開する」と紺野専務理事。17年度に予定する一般社団法人化で一層の体制強化を図る考えだ。


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2016年09月24日土曜日


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