宮城のニュース

<杜の都のチャレン人>命の大切さを物語に

自ら生み出した妖精キャラ「しわくちゃん」について語る山崎さん。絵本は電子書籍として購読可能だ

◎自作絵本で介護現場のイメージアップを図る/山崎史香さん(31)

 頭巾姿のおにぎり顔に小さな目、ほほ笑む口元に福々しい二つの頬がぶらり。ユーモラスな表情に思わず吹き出しそうになる。
 「お年寄りのしわに住む妖精『しわくちゃん』です」。座布団に座ったおばあちゃん姿のキャラクター。自作の絵本を携え、各地の社会福祉協議会などで「しわは大切な人と共有した喜怒哀楽によってできるもの。その人の人生そのもの」と説いて回る。自身も施設に勤務する現役の介護福祉士だ。
 前代未聞の「介護キャラ」誕生の裏には、現場での苦しい経験があった。施設で働き始めて5年目のある日、若年性認知症の患者と出会った。どうしていいか分からずパニックになったり、自分を傷つけたりしてしまう。治療や介護が難しい病気とされていた。
 専門書を読んでも症状の過酷さばかりが強調され、介護者と家族が共有できるような内容に乏しかった。認知症の家族を怖がる子どもたちがいることも気になった。
 認知症や介護について、分かりやすく伝える方法はないか−。思い付いたのが、幼い頃から好きだった絵や文章を書くことだった。
 認知症や介護のこと、多くの命の犠牲の上に自分たちの命があること、他者を思いやる心の大切さ…。小さな妖精と少女ハナちゃんの物語に思いを込めた。絵本「しわのようせい」だ。
 現場に立てば、暴力を振るわれたり、体を触られたりすることもある。きれい事ばかりでは済まされないのが現実だ。一方で、慰められ、励まされもする。「じいちゃん、ばあちゃんの笑顔が私のパワーの源。将来は『しわ美人』になりたい」とまで言い切る。
 構想中の次回作は、大人になったハナちゃんが介護福祉士を目指す話だ。マイナス面ばかりが取り上げられる介護の仕事にも、魅力がたくさんあることを伝えたい。「物語を読んで介護の世界に飛び込む人が増えたらうれしい」(や)

<やまざき・ふみか>85年宮古市生まれ。宮古商高卒。仙台医療福祉専門学校卒業後、介護福祉士として仙台市内の介護施設で働く。13年、施設でのアート活動を開始。現在、宮城県内の施設に勤務。仙台市泉区在住。


関連ページ: 宮城 社会

2016年09月24日土曜日


先頭に戻る