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台湾引き揚げ者の貯金証書 70年ぶり遺族に

父誠一さん名義の貯金証書の返還を受けた豪さん=酒田市の酒田税関支署

 太平洋戦争の敗戦まで台湾の新聞社に勤めていた鶴岡市の加藤誠一さん(故人)が、日本に引き揚げた際に税関へ預けた貯金証書が、東京税関酒田税関支署から加藤さんの三男豪(たけし)さん(81)に返還された。70年ぶりに返った証書に豪さんは「父の香りがするよう。私の中の戦後がようやく終わった」と語った。
 返還されたのは1946年5月、台湾から鹿児島県を経て古里の鶴岡市に戻った加藤さん名義の定期貯金証書1通。現金を預けた台湾の金融機関は既に解散し、資産的な価値はない。
 終戦直後にはインフレ防止のため、一定限度額を超える通貨や証券類の持ち込みが禁止となり、全国の税関に135万点が預けられた。加藤さんは鹿児島に帰国した際に税関に預け、返還を受けないまま、70年代後半に病死した。
 豪さんは専門学校への進学を機に移り住んだ東京から、昨年8月に父母の墓がある鶴岡市に帰ってきた。今年8月、税関が通貨や証券類の返還を呼び掛けているという新聞記事を目にし、酒田税関支署に問い合わせたところ、鹿児島県を管轄する長崎税関に保管されていることが分かった。
 酒田税関支署の近藤昌伸支署長が今月7日、豪さんに証書を手渡した。10歳のころに父母らと引き揚げた豪さんは「父も母もお世話になった台湾の人たちに残してきたお金という認識だった。私もそれでよかったのだと思っている。父が一生懸命働いた証明として、墓前に報告したい」と感慨深げに話した。
 酒田税関支署での返還は3年ぶり。全国では毎年100人前後が返還を受けているが、現在も約26万人分の86万点が残されている。


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2016年09月24日土曜日


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