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<手腕点検>最大被災地の再生指揮

仮設住宅の入居者に自立再建促進プログラムを説明する亀山市長=7月26日、石巻市

◎2016宮城の市町村長(11)石巻市 亀山紘市長 学者気質物足りなさも

 東日本大震災からの復旧復興が進む最大被災地、石巻市。地域再生の指揮を執る亀山紘市長(73)が毎週月曜午後5時、市長室に復興関係部署の部長らを集めソフト、ハードの両面で各事業の進行具合をチェックする。通称「政策会議」と呼ばれる内部会議だ。
 丹念に資料を読み、根拠となる数字を細かく把握する。結論よりも、議論の過程を重んじる。市幹部からは「学者気質が染みついている」との声も漏れる。

<正面突破を貫く>

 神奈川大工学部卒。東北大講師などを経て1993年に石巻専修大教授となった。2009年の初当選まで政治経験はなかった。
 2年後、震災で市政を取り巻く環境は一変した。犠牲者は行方不明者と関連死を含め約4000人。病院も商店街も公共施設も広範囲に被災した。
 仮設住宅は県内最多の7297戸が整備された。基礎自治体だけで解決できない事態が山積する。国や県に足しげく通って窮状を訴え、財政支援を求めた。
 政治的なパフォーマンスはない。正面突破を貫く手法に、陳情に同行した市議は「市長は正論を言えば何とかなると思っている」と言う。別の市議は「政治家を使えばもっと早く解決できる問題もあった」と物足りなさを訴える。

<被災者から不満>

 現在の最重要課題は住まいの再建。4500戸を計画する災害公営住宅は本年度中に約8割が完成し、仮設住宅解消に道筋がつく転換期となる。
 市は6月、仮設住宅の入居者向けに自立再建促進プログラムを策定。集約スケジュールを示し、各世帯の事情に応じた支援策を盛り込んだ。
 だが、被災者の反応は芳しくない。仮設住宅の自治連合組織から派生した一般社団法人石巻じちれんの増田敬会長(65)は「自治会がない団地を集約先に選んだ。市は仮設のコミュニティーをどう考えるのか」と首をかしげる。
 7月下旬に河北総合センターであったプログラムの説明会では、蓄積された被災者の不満が亀山氏にぶつけられた。

<強い口調で応戦>
 旧河北町出身の知人が市街地の災害公営住宅に入れなかったという話を聞いた男性が突然、「差別ではないのか」と声を荒らげた。亀山氏は「それはありません」と強い口調で応戦し、会場に緊張が走った。
 本人は当時の対応を「言うべきことは言わなければいけない」と振り返る。よく言えば政策を推し進める力になる頑固さは、時には人の話に耳を貸さない印象を与えかねない。
 「復興を成し遂げたい」と3選への思いもにじませる亀山氏。再建先未定の仮設住宅入居者は409世帯(8月22日現在)に上り、生活再建という喫緊の課題を抱えながら、去就が注目される市長選が来春に迫る。(石巻総局・鈴木拓也)


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2016年09月25日日曜日


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