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<台風10号>インフラ復旧に巨額費用の壁

敷地と町道をつなぐ橋が流失した民家。個人や地域で整備したインフラの復旧も生活維持に欠かせない=岩手県岩泉町鼠入地区

 台風10号豪雨で被災した岩手県岩泉町で、山間部の住民たちが自ら整備した生活道路や水道、テレビ受信施設の復旧が難題となっている。きめ細かい整備が行き届かないため造られた「私的」インフラだが、町は生活再建に不可欠として復旧を支援する方針だ。ただ、再整備には巨額の費用が見込まれ、町は国に財政措置を求めている。
 町中心部から約20キロ南西の鼠入(そいり)地区甲地。幅5メートル前後の川に並行し、仮復旧した町道が走る。対岸に並ぶ家の前と町道をそれぞれ結ぶ簡素な橋はほとんど流失した。個人や地域で整備した生活橋だ。
 住民らは協力して、丸太3本を並べた幅80センチほどの橋を仮に架けたが、車は通れない。町中心部の避難所から通う中川文子さん(82)は「渡るのはおっかねえし、大変」とつぶやいた。
 切り立った谷間の沢筋に集落が点在する岩泉町には、自宅や畑を行き来するため、個人や地域が整備した生活橋や道路が多い。1995年からは、町が整備費用の9割を補助する制度を導入。高齢化が進む地域の生活を支援してきた。
 町によると、豪雨で約100カ所の生活橋が被災したとみられる。伊達勝身町長は「家までたどり着けない人がまだいる。生活道路も公道のように捉え、住民負担なしで応急復旧させたい」と話す。冬前までに仮復旧を終えたい考えだ。
 山間部の私的インフラはほかにもある。水道施設やテレビ受信のためのアンテナなども、住民が組合をつくって負担し合い、町の補助も受けて整備している。
 テレビ共同受信組合は65あり、町の全世帯の47%、約2160世帯が接続する。豪雨でケーブルの断線や流失は相当数に上るとみられ、町は概算で復旧費を3億円以上と見込む。22組合で約220世帯が利用する水道も一部で断水が続く。
 町には組合側から「費用が払えない」と支援要望が寄せられている。町の財政担当者は「町単独では無理。国の支援は不可欠だ」と話す。


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2016年09月25日日曜日


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