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<台風10号>仮設か再建か 岩泉住民苦悩

活用が検討される東日本大震災時に建てられた応急仮設住宅。外装と内装を修理してから提供を始める=24日、岩手県岩泉町小本

 台風10号豪雨で甚大な被害が出た岩手県岩泉町の被災者が、応急仮設住宅に入居するか、自宅を再建するかの選択で苦悩している。「冬が来る前に家を確保できる」と入居を心待ちにする住民がいる一方、「住み慣れた土地を離れたくない」と自力再建を目指す人も多い。被害規模が仮設の入居基準を満たすかどうかという不安もあり、落ち着かない日々が続く。
 「入れてもらえれば、どんな所でもありがたい」。同町安家(あっか)地区の自宅が濁流で流され、町中心部の避難所に身を寄せる無職西館正男さん(64)は、仮設住宅への入居を希望する。
 東京で営業マンとして働いた後、定年退職を機に5年前に古里の実家に戻った。「年齢的に自宅を建て直すのは難しい。先のことはひとまず仮設に入ってから考えたい」と語る。
 木造平屋の自宅が80センチ以上浸水した同町尼額(あまびたい)地区の無職西角地(にしかくち)隆一さん(84)も仮設入居を望む。「床や壁を直して暮らしたいが、修復には時間がかかる。冬前には生活を安定させたい」と理由を明かす。
 町は県に依頼して10月中に300戸の仮設住宅を整備する方針。不足した場合は東日本大震災時に小本地区に建てた仮設住宅の活用を検討する。
 避難所で生活する被災者を中心に実施した意向調査では、仮設住宅への入居を希望したのは44%。半数以上は自力再建を視野に入れていることになる。
 尼額地区の無職女性(80)の木造平屋の自宅は、天井まで流木や土砂が流入した。片付けは終わりが見えず「仮設に入るかどうかなんてまだ決められない。体が言うことを聞けば、住み慣れた場所で生活したい」と地区内での再建を望む。
 仮設住宅の入居は原則として、住宅が「全壊」か「大規模半壊」の判定を受けた世帯が対象。町は10月1日に罹災(りさい)証明書の発行を始め、被害規模の調査結果を住民に伝える。
 向町の介護施設職員畠山やす子さん(62)は平屋の自宅が床上40〜60センチ浸水した。床板やタンス、給湯器が被災し、すぐに生活を再建できる状況にない。
 「一度仮設に入り、落ち着いて家の修理をしたいが、入居基準を満たしているかどうか不安だ。入居できなければ、避難所生活を続けながら修理するしかない」と心配そうに話した。


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2016年09月26日月曜日


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