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津波被災…寺のかねを鍋に 実話の絵本出版

絵本を出版した光子さん(右)と亘さん

 東日本大震災で、津波に襲われた宮城県石巻市長面地区で被災した元教員堀込光子さん(69)=石巻市小船越=が、避難先の寺で住民らがかねを鍋にして命をつないだ実話を基に絵本「なべになった鐘」を自費出版した。住民同士が力を合わせて困難を乗り越える物語。「教訓を受け継いでほしい」と子どもたちへの読み聞かせもしている。
 絵本は、大きな地震が発生し、長面地区の寺院「龍谷院」に津波から避難した地元住民の姿を描く。救助が来るまでの3日間、協力して助け合うストーリーだ。
 住民たちは津波で流されたがれきの中から読経の際に使う直径、高さともに50センチほどのかねを発見。生き延びるため、かねを鍋として使うことにする。湧き水を引いていたパイプを捜し出して水を確保。寺の倉庫に備蓄されていたコメをかねで炊き、おかゆにして食べて凍えた体を温めた。
 堀込さんも自宅で大きな揺れに見舞われ、自宅近くの龍谷院に避難。津波が地域を襲い、寺の裏山に駆け上がった一人だ。雪が舞う中、避難した住民約80人とともにたき火で暖を取って一夜を明かしたという。
 堀込さんは昨年夏、子どもたちに地元の話を伝えたいと絵本の制作を思い立った。当時はこの実話をよく覚えていなかったため、あらためて住職に取材して内容を確認し、小学生でも分かるよう平易な文章にまとめた。
 長男で整体師の亘さん(39)がイラストの下書きを担当。堀込さんが色を付けるなどして、今年7月に出版した。
 堀込さんは「多くの子どもに読んでもらい、教訓をつなげたい」と期待し、亘さんは「津波の怖さや悲惨さだけでなく、普段の生活で周囲と協力する大切さを知ってほしい」と話す。
 A4判で700円(税込み)。売り上げは震災遺児の支援に充てる。石巻市内のヤマト屋書店TSUTAYA中里店や金港堂石巻店などで販売している。
 連絡先は亘さんが営む快笑整体院080(8216)4749。


2016年09月27日火曜日


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