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<台風10号>孤立集落 つないだ命のバトン

無事に杏朱ちゃんを出産した宍戸さん
宍戸さんらを救助した伊藤消防士長

 台風10号の豪雨被害が甚大だった岩手県岩泉町で、臨月だった八戸市の宍戸つかささん(28)が、応援で現地に入っていた仙台市消防局の隊員らに救出された。宍戸さんは救助から約24時間後、八戸市の病院で元気な女児を出産。豪雨で孤立し、道路と通信が寸断された中、救助を求める親族らの声に町や消防が「命のバトン」をつないだ。
 宍戸さんは里帰り出産のため、7月中旬から岩泉町安家(あっか)地区の茂井(もい)集落の実家に滞在。今月3日の出産予定日を目前にして豪雨に見舞われ、8月30日夜から停電が続き、電話も通じなくなった。
 実家に残っているのは母親と、一緒に帰省した長女花帆ちゃん(1)の3人のみ。宍戸さんは「ヘリコプターが上空を通過するたびに手を振って助けを求めたが、見つけてもらえなかった」と振り返る。心細さと出産への不安に押しつぶされそうになった。
 今月1日午前10時ごろ、ヘリが家のすぐ上を飛んでいることに気付いた。近くの広場に着陸したヘリから、仙台市消防局消防航空隊の救助隊員が降りてきた。
 「涙が出そうなほどホッとした」。花帆ちゃんや母と共にヘリに乗り込み、久慈市にあるヘリポートで降りた後、夫の車で八戸市の自宅に戻った。市内の病院で2日午前11時前、次女の杏朱(あんじゅ)ちゃんを出産した。
 この間、大崎市に住む義母や宍戸さんの兄、親戚らは岩泉町役場に「孤立集落に妊婦がいる」「助けてください」と繰り返し電話してくれていた。宍戸さんは「たくさんの方々に助けられて無事に産むことができた」と感謝する。
 救助に当たった伊藤歩消防士長(36)も2児の父。「ほぼ予定通りに出産できて、家族も安心したと思う。無事に生まれてくれて良かった」と話した。


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2016年09月27日火曜日


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