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<までいな村の明日>豪華施設 にじむ危機感

再開後の学校施設のイメージ図(飯舘村提供)

 人工芝の野球場、屋内テニスコート、夜間照明付き陸上競技場、里山の自然を再現したビオトープ…。公立学校とは思えない豪華な施設計画に、子どもが減り続け将来的に村が消滅するとの危機感がにじむ。

◎福島・飯舘村長選10月6日告示(中)教育

<総事業費57億円>
 東京電力福島第1原発事故による避難指示が続く福島県飯舘村は2017年3月末、一部を除き避難指示が解除される。その1年後の18年4月、村での学校教育が再開する。
 幼稚園、保育園の3園と小学3校を飯舘中敷地に集約し、一貫教育をする。同中の校舎を小学生も使えるよう改修し、給食センターなどを新設する。総事業費は原発事故前の村の年間予算に匹敵する57億円を見込む。
 村は原発事故から約40日後に避難区域に指定され、住民は周囲の自治体にまとまって避難した。福島市と川俣町に仮設校舎を置く村の保育園や学校などの子どもは234人。本来通うはずだった児童らの36%に当たる。全域避難した他町村と比べると、高い比率を保ってきたといえる。
 だが、地元での学校再開後の見通しは明るくない。村は通う子どもが50〜60人程度にまで減るとみる。

<根強い親の不安>
 村への通学が敬遠される理由の一つが放射能不安だ。村は再開までに学校敷地の放射線量を、追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になるよう除染を進めているが、保護者の不安は根強い。
 避難先で自宅を再建したケースが多く、長距離通学も懸念材料となる。飯舘中1年の息子が3年生の時に通うことになる会社員星貴弘さん(37)=福島市=は「スクールバスで往復2時間。負担にならないか心配だ」と打ち明ける。
 児童・生徒数の減少を食い止めるため、村は授業内容などソフト面でも特色を打ち出そうと模索する。

<山村留学も視野>
 村幹部やPTA関係者は8月上旬、秋田県東成瀬村を視察した。人口2700の過疎地にもかかわらず、学力テストで全国トップクラスを誇る。
 東成瀬村の図書購入費は全国平均の約4倍となる1人当たり6000円。保育園と小中学校の連携活動が活発で、授業参観の出席率は100%を超える。
 視察した飯舘村の関係者は「教育熱がすごく高く、お年寄りがさまざまな形で子育てに関わっている。置かれた状況は違うが、参考になる」と話した。
 村幹部は「再開後、社会性や豊かな人間性を育む教育を目指す」と強調し、山村留学生の受け入れを視野に入れる。その理念をどう具体化するかが問われる。
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 東京電力福島第1原発事故で全域が避難区域となった福島県飯舘村は2017年3月末、一部地区を除き避難指示が解除される。村は事故前、身近な自然を生かした手づくりの活性化策を模索し、「までいな村」として知られた。美しく、のどかな田園風景は戻るのか。10月6日告示の村長選(10月16日投開票)を前に、村再生の課題を探った。(福島総局・藤井宏匡)

【注】「までい」は、「丁寧に」「手間暇惜しまず」などを意味する方言。


2016年09月28日水曜日


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