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<全町避難>5年半ぶり診療 医師再出発

新しい診察室の椅子に座り、機器を確認する今村所長

 「規模は小さくなったけれど、また町の医療に携わることができてうれしい」
 とみおか診療所の所長を務める医師の今村諭さん(61)。診察室の真新しい椅子に感慨深げに腰掛けた。
 福島県富岡町内でベッド数90床を有し、南双葉地域の中核医療を担う「今村病院」の院長を務めていたが、原発事故で病院は休止。診療所開所に向け、町から声が掛かり、5年半ぶりに町内で再スタートを切った。
 診療所長に就くことが決まると早速、いわき市など避難先の町民から連絡が入った。「先生、また診てもらいたいんだけれど、行ってもいいのかな」
 今村さんは「遠くに避難している人も、町内で作業している大工さんも、健康相談でも何でもいいから気軽に訪ねてほしい」と優しく呼び掛ける。
 診療3科のうち、精神科を設けたのはメンタルケアに力を入れるためだ。「それぞれ避難先で孤立してストレスを抱えていたり、将来に不安を感じていたりする。ゆっくり話を聞いてあげたい」と言う。
 「一番大切なのは同じドクターがいつも診てあげられること。何とか体力を維持し、ここで頑張りたい」。ゆっくり時間をかけて信頼される診療所に育てたいと思っている。


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2016年09月29日木曜日


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