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リバースモーゲージ型ローン 東北で低調

 東北では七十七、荘内(山形県鶴岡市)、北都(秋田県秋田市)の3銀行が手掛ける高齢者向けの「リバースモーゲージ型ローン」の販売が低調だ。存命中は利子だけを返済し、死亡後に相続人が自宅などを売却して元本を一括返済する仕組み。月々の返済原資が不足する高齢者でも住宅資金や老後資金を用意できるが、東北で根強い持ち家志向などを背景に浸透していない。(報道部・田柳暁)
 七十七銀行は8月19日、リバースモーゲージの申し込みを受け、仙台市青葉区の男性(72)に730万円を融資した。使途は自宅リフォーム資金で、妻と暮らす一戸建て住宅の風呂やトイレのバリアフリー化、屋根修理の費用に充てた。
 男性は当初、「高齢のため借り入れは難しい」と考え、大規模修繕に消極的だったが、商品を知り、泉区に暮らす長女一家に相談。自宅売却の同意が得られ、正式に申し込んだという。
 6月には、住宅ローンの借換資金として泉区の1人暮らしの男性(73)に1050万円を融資した。妻が他界し、月11万5000円のローン返済が負担だった。融資期間中は利息のみの支払いとなるため、返済額は月3万円に軽減できた。
 同行住宅融資課の担当者は「不動産があれば高齢でも借り入れできる。修繕した中古住宅に別の世帯が移り住み、地域の定住促進につながる」と話す。
 だが反応は鈍い。同行が取り扱いを始めた2015年10月以降、実績はこの2件のみ。14年4月に東北の地銀で最も早く取り入れた荘内、北都両行も成約はほとんどないという。
 荘内銀の広報担当者は「仙台市や首都圏から問い合わせはあり、関心は高いはずだが…」と困惑気味だ。
 商品化に慎重な地銀の広報担当は「地方では土地だけでなく自宅まで担保に入れることに抵抗が強い」と分析。別の銀行の担当者は「首都圏などに比べると東北の不動産評価額は低い。融資できる額も低くなり、通常の融資との差別化が難しい」と指摘する。
 七十七銀行は住宅金融支援機構とセミナーを共催し、リバースモーゲージの制度説明に力を入れる。今年2、7月のセミナーには計230人が集まった。人口減少が進む市町村との連携も強める。
 同行は「子どもが戻らず空き家になってしまう住宅や土地は増えるとみられ、ニーズはある。親の死亡後、家族がローン残額を返済して住宅を残す方法もあり、選択肢の一つとして考えてほしい」と呼び掛ける。
 同行の商品は使途が住宅の新築・購入や修繕、建て替えなど住まい関連が中心だが、荘内、北都両行は事業目的や投資目的でなければ使途は自由。趣味や旅行にも利用できる。両行は「より豊かな老後生活を実現するために役立ててほしい」と話す。

[リバースモーゲージ型ローン]自宅や所有不動産を担保に、60歳以上など一定年齢以上の人に融資する商品。最期まで自宅に住みながら住宅資金や生活資金が得られる。不動産価値の低下による担保割れのリスクがあるため、住宅融資保険付きの商品もある。


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2016年09月30日金曜日


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