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震災後見つかった写真 1枚でも家族の元に

思い出の写真を手にして笑顔を見せる斎藤さん

 東日本大震災で被災した写真の修復、返却を山元町で行っているボランティア団体「思い出サルベージ」(溝口佑爾代表)が震災から5年半が過ぎた今も、写真の出張返却会を続けている。家の流失が相次いだ地域では、最近になって写真を見つける人もおり、団体は一枚でも多く写真を返そうと奮闘している。

 9月22日、町坂元公民館で、被害が大きかった中浜地区の元住民の芋煮会があり、会場の一画にファイルされた被災写真の閲覧スペースが設けられた。中浜地区の芋煮会と写真返却会が同時に行われるのは4度目で、住民の要望を受けほぼ毎年実施している。
 自宅が全壊した斎藤くみ子さん(73)はこの日、9年前にカラオケ愛好会のメンバーと旅行に行った時の記念写真を見つけた。「自分が写っている写真をずっと探していたけれど、初めて見つけることができた。震災で亡くなった仲間も一緒にいて、本当に貴重な1枚」と感慨深げに話した。
 写真が趣味の島田さゆりさん(50)はこれまでに3000枚以上の写真が戻ってきた。「かけがえのない時間が記録されている写真は、前に進むための力になる。移動手段が少ない高齢者も多いので、返却会は本当にありがたい」と語る。
 集会所などでの思い出サルベージによる返却会は3カ月に1度ほどで、普段は町と連携し役場隣のふるさと伝承館で常設展示している。これまでに回収した75万枚のうち43万枚が返却された。団体メンバーで写真家の高橋宗正さん(36)=東京都=が活動をまとめた著書「津波、写真、それから」の印税を被災地に寄付する活動も継続している。
 思い出サルベージの新藤祐一副代表(42)=同=は「地域の方々の思いに応えられるよう、活動を続けていきたい」と話している。


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2016年10月01日土曜日


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