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<杜の都のチャレン人>自然と共存目指して

仲間の建築士と共に、家の模型を使って説明する佐藤さん=中田市民センター

◎防災教育や植樹に取り組む建築士 佐藤美保子さん(61)

 快活な笑顔、きびきびした所作に芯の強さをのぞかせる。
 仙台市中田市民センター(太白区)の市民企画講座で今夏、講師を務めた。小学生らを前に、自作の防災教育絵本を読み聞かせたり、耐震模型で住まいの備えを説いたり。伝えたいのは自然と共存しながら災害を最小限に抑える「減災」の考え方。「自然の恵みと災害は表裏一体。価値観が柔軟な成長期にこそ、減災の意識を育んでほしいのです」

 生まれ育ったのは岩手県大槌町赤浜。東日本大震災で古里は甚大な津波被害に遭い、多くの親類や友人を亡くした。被災地では、巨大防潮堤などハード優先の防災対策が進められていく。「自然を封じ込めようとするのは人間の傲慢(ごうまん)でしょう。上からの視線に違和感を覚えました」
 2012年春、仙台市内であったシンポジウムで、震災がれきを活用した盛り土に多様な樹木を植える「森の防潮堤」構想を知る。「自然には自然の力を使う」という理念がすとんと、ふに落ちた。

 岩手、宮城、福島3県の沿岸部での植樹活動に加わり、苗木の準備作業を担う。木を植えるほどに「植物がなければ人も動物も生きられない」と感じ入る。「震災は地球と命のかけがえのなさに気付くきっかけにもなったのですね」
 里生海歩子(さとうみほこ)の名で今年3月11日、絵本「海の子 山の子 地球の子 大切なことってなんだろう」を自費出版した。同郷のイラストレーターが絵を担当。自然の変化に目を凝らし、耳を澄まし、危険を知らせるサインに気付こうと呼び掛ける。<すべての生きものに 大切なことは 命をつなぐこと><自然の力を 正しくおそれることがだいじなんだ>

 「勇気を絞って一歩踏み出したら、多くの出会いに力をもらえました」。絵本は次作に取り組んでいる。「どちらも息長く続けます」。毅然(きぜん)と前を向く。(志)

<さとう・みほこ>55年岩手県大槌町生まれ。釜石南高卒。仙台市内の病院の超音波検査室勤務を経て、95年2級建築士資格を取得。木造住宅耐震診断士。宮城県建築士会仙台支部まちづくり部会メンバー。仙台市泉区在住。


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2016年10月01日土曜日


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