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<台風10号>結束の糧に 古里再生へ奮闘

ボランティアたちに作業内容を説明する千葉さん(右端)=30日午前9時15分ごろ、岩手県岩泉町小本

 岩手県岩泉町中島地区で、被災者の千葉泰彦さん(43)が復旧の指揮を執っている。民家を1軒ずつ回って被害規模を確認し、行政に代わってボランティアを手配。集会所に独自の災害対策本部も設けるなど、自らの生活再建を後回しにして地区のために奮闘する。
 「この家は大量の泥が残っているので5人で掃除に向かってください」。30日朝、ボランティア拠点に千葉さんの指示が響いた。
 東京でコックなどとして働いた後、今年4月に実家に戻り、町内の企業に就職した。1カ月前、自宅は床上1.8メートルまで浸水。会社も被災し、操業を停止した。それでも「一刻も早く働きたい」と急ピッチで片付けに励んだ。
 2週間後、解雇を告げられた。気持ちが折れかけたが、59世帯140人が暮らす地区を見直す機会になった。住宅32棟が全壊。住民の大半が高齢者で独居も多い。「行政の支援を待つのではなく、若い世代が進んで動かないと復旧しない」と奮起した。
 まずは民家一軒一軒を訪ね歩いた。泥出しを手伝いながら健康状態なども確認。町よりも実態を正確に把握し、毎朝数十人のボランティアを差配するようになった。各世帯の被災状況は地図上に示し、集会所に張り出す。寒さやカビ対策を紹介するチラシも作った。
 ふさぎ込んでいた住民が情報を求めて顔を出すようになり、集会所は「中島地区統合災害対策本部」と呼ばれるようになった。
 住宅再建の見通しが立たず、家族5人と田野畑村の避難所で夜を過ごす。「もっと被害が大きい人がいる」と自宅以外にボランティアを回す。「台風を地域が結束する糧にするため、みんなで乗り越えたい」。全世帯が無事に冬を越すまで、古里再生の最前線に立つ。


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2016年10月01日土曜日


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