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<電力自由化半年>選択肢少なく東北動き鈍い

 今年4月に電力小売りが全面自由化され、一般家庭が電気の購入先を自由に選べるようになってから1日で半年になった。東北電力が市場を独占してきた東北6県と新潟県で、新電力に契約を切り替えた家庭など低圧部門(50キロワット未満)の顧客は8月末で4万8900件。全体の0.6%程度にとどまり、ガス大手などがシェアを伸ばす大都市圏に比べ、動きは鈍い。

 新電力事業者で、LPガスと灯油販売が本業のミライフ東日本(仙台市)。従来の顧客を中心に東北と北海道で約2000件の契約を獲得したが、担当者は「スタートダッシュからは落ち着いたようだ」と話す。
 電力広域的運営推進機関によると、全国の8月末の契約切り替え件数167万5100件のうち三大都市圏が86%を占め、東北は3%にとどまる。
 伸び悩む要因の一つに選択肢の少なさがある。国登録の新電力事業者は348社に達し、50社以上が東北参入を表明。しかし資源エネルギー庁によると、東北6県で供給実績(500キロワット時以上)がある事業者は6月時点で各県に7〜10社しかない。
 再生可能エネルギー中心の電気を売りに全国2万5000件を獲得したLooop(ループ、東京)は9月に東北参入。申し込みは2週間で500件弱だ。担当者は「保守的な土地柄もあるが、盛り上がりは1社ではつくれない」と語る。
 不安要因もある。政府は原発の廃炉費用を送電網の使用料「託送料」に上乗せする制度を検討。須賀川ガス(須賀川市)の橋本直子副社長は「原発が嫌だという顧客も多いのに、中小の新電力事業者が価格転嫁を強いられる。自由化のブレーキになる」と憤る。
 一方の東北電力。顧客の囲い込みを狙い、1月に受け付けを始めたウェブサービスの登録は9月16日現在12万2300件。顧客全体の1、2%にすぎないが、離れた約4万9000件を上回る顧客を確保した。
 7〜9月に展開した特産品が当たるキャンペーンが奏功し、東北電の原田宏哉社長は9月23日の定例記者会見で「一定の手応えと成果を感じている」と語った。
 経営コンサルタント業の船井総合研究所(大阪)で新電力ビジネスを担当する山本翼氏は「3年後には全国で1000万件程度まで切り替えが進むだろう」とみる。一方で「価格面以外のイノベーションがなければ収束する恐れもある。新電力側の革新的なサービスのほか、電源構成の開示義務化など制度面の改革も必要だ」との見方を示した。


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2016年10月01日土曜日


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