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<手腕点検>放射能汚染対策に奔走

健康まつりで町民と気さくに話す保科町長(中央)=9月4日、丸森町民体育館

◎2016宮城の市町村長(12)丸森町 保科郷雄町長


 東京電力福島第1原発事故による放射能汚染被害を県内で最も深刻に受けた丸森町。2010年12月に当時の現職を破り初当選した保科郷雄町長(66)は、事故の対応に追われ続けた。
 隣接する福島県との格差が大きかった除染では、県や国に要望を繰り返し、完全ではないが「福島並み」を実現させた。東電への損害賠償請求の和解仲介手続き(ADR)で、和解案が9月14日、町議会9月定例会で可決され、賠償問題も一つの区切りが付いた。
 町内でも最南端の筆甫地区振興連絡協議会の引地弘人会長(68)は「初動は少し遅れたが、町独自の子どもの甲状腺検査など、よくやってくれた。気さくに住民に協力してくれる」と評価する。

<職員の士気向上>
 町議連続5期、議長も務め、議会との関係はまずまず。菊池修一議長(60)は「柔軟に聞く耳を持ち、真摯(しんし)に向き合う。敵をつくらないタイプ」と分析する。
 無投票で再選された2期目。町はインバウンド(訪日外国人旅行客)誘致など新規政策を次々と打ち出す。職員からのボトムアップによる事業が多く、職員の士気は確実に上がった。
 「職員育成に力を入れており、歯車がかみ合っている」と佐藤仁一郎副町長(69)。町幹部も「自分から矢面に立ち、責任を持ってくれる」と信頼する。
 ただ、その円満な人柄が、庁内に緩みや甘えを招きかねない懸念もある。
 「見通しが甘いとの指摘には襟を正さなければならない」。9月定例会の一般質問で、保科町長が反省を口にする一幕があった。

<予算編成で失態>
 町の道路整備の国庫補助採択率が40%で約3億円不足して事業ができず、6月に減額補正に追い込まれた。町は「復興に伴い沿岸部へ優先配分された」と説明するが、15年度も採択率が低く同じ轍(てつ)を踏んだ。
 予算編成をめぐる問題は3月にもあった。地方創生加速化交付金を見込み、移住定住サポートセンター整備の補正予算を通したが、交付金が通らず、13日後に臨時議会で減額する失態を演じた。
 職員出身で2期目の宮本昭雄町議(65)は「職員への指導力は少し弱い。職員の提案通りだけでなく、トップの判断があってよい」と指摘する。議長経験者の石井央町議(67)も「無難だが政治家として物足りない。めりはりある町政を行ってほしい」と注文する。
 保科町長は「自分から先に意見を言うより周囲の声を聞く性格は昔からで、弱点でもある」と認め、「原発事故がやや落ち着き、他の問題も見えるようになった。若者定住や子育て支援に力を注ぐ」と強調する。
 高齢化率は37.3%と県内3位、15年国勢調査(速報値)で5年間の人口減少率は9.79%と県内6位。町の再生へ向け、2期目折り返しを迎える保科町長に、思い切ったリーダーシップが求められている。(角田支局・会田正宣)


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2016年10月02日日曜日


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