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<いじめ すくえぬ声>心の傷 過小評価防げ

ふじしろ・まさのり 日大卒。仙台市内の中学校長を経て、2011年4月に宮城教育大教職大学院特任教授、今年4月から現職。05〜07年度には仙台市子ども相談センター所長も務めた。気仙沼市出身。65歳。

◎防止法施行3年・東北/宮城教育大学長付特認教授・藤代正倫氏に聞く

 いじめ防止対策推進法の施行(2013年9月28日)から3年が過ぎた。いじめによる自死を教訓として策定された法律に、残された課題は何か。宮城県教委の第三者機関「いじめ防止対策調査委員会」委員長の藤代正倫宮城教育大学長付特任教授に聞いた。
(聞き手は報道部・相沢みづき)
 −法律でいじめを定義し、いじめ防止基本方針の策定を学校に義務付けた。

<常に見直し>
 「法施行はインパクトがあり、教職員のみならず、国民のいじめに対する意識を高めることに役立った。いじめ対策は学校だけでなく、家庭や地域の協力が欠かせない。基本方針も作って終わりではない。重大事態の発生がなくても現場や専門家の声を取り入れ、常に実態に即した見直しで形骸化させないことが大事だ」
 −いじめの定義を巡り、学校現場には解釈や判断に戸惑う声もある。
 「いじめに軽重はない。ささいなことでも、子どもたちは心に傷を負う。過小評価しないよう留意が必要だ。いじめと捉えるか否かの前に、学校内の人間関係のトラブルには丁寧に対処するのが当然。学校は生徒の命を預かっていることを認識しなければならない」
 −重大事態の背景には、教員が問題を一人で抱え込んだり、解決済みと判断したりしたケースも多い。
 「教員の多忙化に加え、周囲とのコミュニケーションが薄れていることに危機感がある。教員同士の話し合いの機会や生徒と一緒にいる時間を多く設けるなど、当たり前のことを責任を持ってすることで防げるはずだ」
 −重大事態の調査の課題は。

<調整役必要>
 「学校や教委が主体の調査は、被害者側との信頼関係があってこそ機能する。被害者側からすれば、学校の調査委員会も教委の第三者委も学校寄りと見られがちで、信頼関係が成り立たない場合もある。中立的に両者の思いや意見をくみ取ってつなぐ『調整役』が必要ではないか。国が選んだ人材の中から派遣を受けるなどの形がいいだろう」
 −調査結果を被害者側にどう伝えるべきか。
 「過去の重大事態では事案の公表や被害者への情報提供の仕方に差がある。被害者側には事実関係を時系列で伝えたい。生徒らが書いたアンケートもそれ自体でなく、パソコンで打ち直すなどすれば情報提供は可能だ。被害者側の意向を無視することはできないが、関係者のプライバシーも守らなければならない」


関連ページ: 宮城 社会 いじめ自殺

2016年10月02日日曜日


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