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<政活費不正>市民感覚とのずれ鮮明

 全国の地方議会で、政務活動費(政活費)の不正支出問題が噴出している。宮城県議会はこうした中、使途の透明性を高める目的で領収書をインターネット公開する方針を決めた。都道府県議会では東北初、全国でも4例目の決断だが、導入への消極論は最後までくすぶり続けた。議論の過程を振り返ると、公費の扱いを巡る県民常識との乖離(かいり)と議員の順法精神の欠如が色濃くにじむ。
 「ネット公開は時代の要請。改革の前進が県議会の総意だ」。政活費の適切な運用を検討してきた議会改革推進会議が全会派一致で導入を決めた9月中旬。聞こえの良い建前とは裏腹に、定数59の過半数を占める自民党・県民会議(32人)の控室には議員の恨み節が充満していた。
 「オンブズマンにしてやられた」「住民監査請求で重箱の隅を突いてばかりいる」。支出先の「黒塗り」拡充など、情報公開の流れとは逆行する声すら出てくる始末。当事者意識の欠落を感じざるを得なかった。
 そもそも政活費改革の議論は、自民党議員の不祥事が発端だった。今年2月以降、仙台市民オンブズマンの住民監査請求で、安部孝前議長の1000万円を超す不正支出が発覚。議長就任からわずか半年の6月、引責辞任に追い込まれた。
 信頼回復を迫られた県議会は3月、改革推進会議を設置した。1人当たりの月額報酬は84万円で、会派を通じて支給される政活費の上限は35万円。「領収書をホームページ(HP)に掲載する費用や事務作業は膨大で、不正支出削減の効果は未知数だ」。政活費領収書のネット公開を巡り、議論をけん引する立場の自民党からは導入に否定的な意見が相次いだ。
 野党会派から「まずは後ろ向きな体質を改革すべきだ」と、ため息が漏れたのは無理もない。
 ネット公開は政活費の支出を適正化する「切り札」になり得るのか。「号泣県議」で有名になった兵庫県議会。2014年6月、野々村竜太郎元県議(詐欺罪などで有罪確定)の不正支出が発覚後、すぐに検討会をつくり、同年10月にはネット公開を決めた。
 15年度分からの領収書約3万3000枚をHPで公開する。同県議会事務局によると、費用は業者委託料とパソコンソフト購入代の計約45万円で作業もさほど増えていないという。使用割合を示す執行率はグラフの通り、導入後は右肩下がり。「ルールの厳格化で支出が減少」(事務局)し、導入の効果は明白だ。
 政活費を巡り、富山市議会では疑惑の議員が軒並み辞職している。山形県の自民党県議も9月に辞めたほか、宮城県議会では自民党が13年度末に大量のパソコン機器を駆け込み購入した問題が浮上。中山耕一議長はマッサージチェアの領収書で政活費を受領していたことが発覚した。
 公開に二の足を踏む姿勢は、納税者に不正の隠蔽(いんぺい)としか映らない。
 本来、問われるべきは透明性でも執行率でもなく、政活費の本質だ。調査や研究に交付される原点に立ち返れば、領収書のネット公開は有権者に政策実現の過程を見せるチャンスにほかならない。ごまかしが利く「第2の財布」を温存するような甘えは許されない。

[議会改革推進会議]与野党全7会派の代表14人で構成。領収書のネット公開について、個人情報の「黒塗り」範囲や公開時期を協議している。政活費の使途を監視する第三者機関の設置や、運用手引きの見直しも検討。11月に中間報告を議長に提出する。(報道部 桐生薫子)


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2016年10月03日月曜日


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