宮城のニュース

<震災被災地のいま>伝統の太鼓 統合校へ

特色ある教育活動として取り組んできた東六郷小の「くろしお太鼓」。伝統は六郷小に受け継がれる

 東日本大震災で津波被害を受けた仙台市若林区東六郷地区が転機を迎えている。地域のシンボルだった東六郷小が2017年3月で閉校し、井土、藤塚の沿岸2町内会は本年度中にも解散する見通しだ。人口の急減で伝統的なコミュニティーが細りながらも、新たな歩みを続ける地域のいまを追った。(報道部・小沢一成)

◎ここから 仙台・東六郷(1)思い出の校舎

<感謝の言葉刻む>
 「親子三代、お世話になりました」「楽しい思い出ありがとう」「東六郷はいつまでも消えません」
 津波で1階部分が浸水した若林区種次の東六郷小の校舎内には、児童や地域住民らが描いた絵やメッセージがあふれている。来年3月の閉校を控え、同校が「校舎の思い出プロジェクト」として取り組む活動の一環だ。
 「水田に囲まれ、静かでのどか。学校がなくなるのは本当に寂しい」。OBでPTA会長の大内文春さん(43)はため息をつく。
 同校は1957年、六郷小種次分校から独立。今年で開校60年目を迎えた。震災前は児童が49人いたが今は8人。来年4月に六郷小と統合する。
 校舎は来年度に解体されるが、学びやの記憶が消えることはない。その一つ、約20年前から続く児童の和太鼓演奏「くろしお太鼓」は六郷小に受け継がれることが決まった。
 学校行事だけでなく地元農協の夏祭りなどでも披露され、地域に親しまれてきた。「統合のシンボル」と位置付ける六郷小では来春の統合記念行事を見据え、5年生が練習を始めた。
 東六郷小校長の鈴木一彦さん(57)は「新しい六郷小の太鼓(の伝統)ができるのではないか」と、東六郷で生まれたくろしお太鼓の発展に期待する。

<慰霊塔の構想も>
 被災校舎の跡地利用を巡る議論も進む。少年野球などができるグラウンドを整備するほか、震災犠牲者の慰霊塔や、地域の歴史を伝えるモニュメントの設置などが検討されている。
 「学校はなくなるが、東六郷地区はなくならない。ここに、みんなが集まる場をつくりたい」。大内さんは9月19日に東六郷小校庭であった最後の学区民運動会の閉会式で、決意を語った。
 東六郷地区は震災で一部が災害危険区域となり、人口が約6割も減った。ばらばらになった住民にとって古里の学びやは閉校後もよりどころであり続ける。


2016年10月03日月曜日


先頭に戻る