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<五輪会場変更>ボート長沼案 棚ぼた大歓迎

9月25日に宮城県長沼ボート場であった長沼レガッタ。300人以上の市民が参加し、岸壁からの応援にも熱がこもった=登米市迫町

 2020年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー・スプリント会場の代替候補に宮城県登米市の宮城県長沼ボート場が急浮上し、競技に直接関わらない市民の間でも五輪への関心がにわかに高まっている。商工関係者は「訪日外国人旅行者の誘客拡大につなげたい」「経済効果は大きい」と盛り上がる。一方、東日本大震災の被災者からは「復興関係の取り組みが後回しにされては困る」と心配する声が漏れる。
 東京都の調査チームが、費用削減を目的に都内の「海の森水上競技場」から県長沼ボート場などへの会場変更を提案するとのニュースは9月28日に広がった。
 会場を誘致したわけではない同市にとって降って湧いたような知らせ。同市の佐沼商店会連合会の遠藤光則会長は「経済効果の面で大歓迎。道路網の整備促進も見込まれる」と早速期待した。
 農産物販売、レストラン経営を手掛ける伊豆沼農産(登米市)の伊藤秀雄社長は「五輪開催地というネームバリューは貴重。都会から地方へ人の流れを生み、外国人呼び込みのきっかけとなるよう、『東北のおもてなし』を展開したい」と早くも意気込んだ。
 ボート場近くの地域住民でつくる北方地区コミュニティ推進協議会の名生(みょう)東右(とうすけ)会長(75)は「子どもたちの刺激になる」と登米での開催をプラスに捉える。その上で「長沼の水質浄化の必要性や、予想される交通渋滞対策などクリアすべき課題は多い」と指摘する。
 市内には、震災で大きな被害を受けた隣の南三陸町などから避難する人たちが数多く暮らす。被災した約100世帯が今も入居する同市南方町の仮設住宅もボート場の話題で持ち切りだ。
 自治会長宮川安正さん(76)は「私たちはまだ生活再建の道半ば。もろ手を挙げて迎えたいという気持ちにはまだなれない」と複雑な胸の内を明かす。その上で「(会場に決まれば)被災者への世間の関心が薄まっていくのではないか」と懸念した。

[宮城県長沼ボート場]89年、翌年のインターハイ開催に合わせて県が登米市迫町の長沼に1000メートルのコースを整備。98年に拡張し、国内唯一の常設2000メートル8レーンとした。国際大会が開催できる日本ボート協会公認A級コース。99年にアジア選手権、今年8月に全日本新人選手権が開催された。来年8月はインターハイのボート競技会場となる。


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2016年10月03日月曜日


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