岩手のニュース

弁護士ずっと被災者のそばに 公設から法人に

紙芝居を使い、仮設住宅の入居者に支援制度を説明する在間さん(右)と滝上さん(中央)。これからも新事務所で活動を続ける

 東日本大震災後の岩手県陸前高田市に開設された公設弁護士事務所の運営が3日、新たに設立された弁護士法人に引き継がれ、被災地に「定着」することになった。「病院や学校のように、地域に根差したい」。関係者は、被災者が抱える課題に向き合い続ける。
 新名称は「そらうみ法律事務所陸前高田事務所」。弁護士法人空と海(東京)が運営する。日弁連などが支援して開設した「いわて三陸ひまわり基金法律事務所」の建物や連絡先を受け継ぎ、業務を担う。震災後、被災地にできた公設事務所の移行は初めて。
 陸前高田市には2012年3月に公設事務所が置かれるまで、弁護士が常駐していなかった。所長の在間文康さん(38)は3年の任期を今年9月末まで延長し、活動してきた。
 在間さんは今月から同法人の東京事務所に在籍し、定期的に陸前高田で執務する。代わって震災前後に釜石市などで活動した滝上明さん(44)が常駐。1人だった公設事務所より、安定性や継続性が高まる。
 公設事務所で4年半に受けた相談は約1100件に上った。当初は被災住宅のローン減免、被災者生活支援金関連など震災特有の相談が多かったが、現在は個別化してきたという。
 法律事務所は敷居が高いと思う市民も少なくなかった。在間さんは地元NPO法人などと協力して毎年、市内全ての仮設住宅団地に出向いた。支援制度の内容や注意点を伝え、入居者の本音に耳を傾け続けた。
 高校時代、兵庫県西宮市で阪神大震災に遭った在間さんは「何もしなければ後悔する」と赴任した。滝上さんは発生10年後の阪神の被災地で弁護士活動を始め、借金に苦しむ事業者らの厳しい現実を見てきた。
 在間さんは「声を聴いてきた者として、次の災害で同じように苦しまないよう法制度の問題を整理して発信したい」と語る。滝上さんは「東北での震災の影響は阪神よりもっと長いと思う。現場でずっと関わりたい」と決意を新たにする。


2016年10月03日月曜日


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