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生食用カキ 特区合同会社が解禁前に出荷

10日の出荷解禁前に、むき身の出荷を始めた桃浦かき生産者合同会社=3日、石巻市

 宮城県が導入した水産業復興特区の適用を受けた桃浦かき生産者合同会社(宮城県石巻市)が、今シーズンの生食用カキについて県漁協などが決めた出荷解禁の10日を前に出荷を始めた。県漁協や仲買人でつくる「県かき出荷協同組合連合会」は「フライングだ」と反発している。
 合同会社は、県の指針で定められた生食用カキの出荷解禁日の9月29日、予定通りカキの殻むきを始めた。むき身は「桃浦かき」として県内の量販店などに出回っており、出荷先は首都圏にも及ぶ。
 カキ生産者と県漁協、連合会は9月23日、石巻市でカキの品質検査を実施。出荷に不向きな「卵持ち」が多く粒も小さかったことから、解禁を今月10日に延期することを申し合わせた。県漁協は組合員である合同会社にも解禁延期を伝えたが、守られなかったという。
 連合会の内海春寿代表理事は「県内一斉に出荷を始められるよう話し合ったのに桃浦だけが先走った。取引先から『お宅はなぜ売らない』と問い合わせが相次いでおり、信頼を失いかねない」と困惑する。4日に県漁協幹部と会い、説明と対応を求める。
 特区制度は東日本大震災で壊滅的な被害を受けた水産業の「創造的復興」を進めるため、村井嘉浩知事が県漁協の猛反対を押し切って導入した経緯がある。連合会は3日、県にも対応を要望する文書を出した。
 県漁協幹部は「県内で約450人いる生産者も一日も早くカキを出荷して収入を得たいのに、おいしく質のいい物を出すために我慢している。成育が不十分なカキを宮城県産として販売し、信用を落とすことは許されない」と憤る。
 合同会社は2014年にも、取引先の要望に応じて県漁協などが定めた解禁日前に出荷した経緯がある。
 大山勝幸社長は取材に対し「われわれは県漁協の共販制度に参加せず、独自の取引先に販売している。県の指針に従って出荷を判断した」と話した。

[水産業復興特区制度]漁業法に基づき、これまで優先的に漁協に付与されてきた沿岸漁業権を、民間企業にも開放する制度。宮城県は2013年9月から5年間、桃浦地区の被災漁業者と水産卸の仙台水産(仙台市)が出資して設立した合同会社に漁業権を付与した。


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2016年10月04日火曜日


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