宮城のニュース

<震災被災地のいま>長ネギ特産化に挑む

「仙台井土ねぎ」の出荷作業。組合がブランド化に挑んでいる

◎ここから 仙台・東六郷(2)農業再生

<栽培適した気候>
 甘み豊かで、加熱するとトロッと柔らかくなる「仙台井土ねぎ」。東日本大震災の津波に襲われた仙台市沿岸南部の若林区井土地区で、特産化を目指している長ネギだ。9月から出荷作業が本格化している。
 同地区の被災農家などでつくる農事組合法人「井土生産組合」が2014年度に作付けを始めた。15年度の作付面積は7.8ヘクタールで、全農や地元スーパーなどに130トンを出荷した。
 「塩害や湿害でネギしか作れなかった」と、代表理事の鈴木保則さん(55)は話す。かつてはレタスの有力産地だったが震災後、さまざまな種類の野菜を試験栽培したところ、ネギ類の収穫率が高かったため、本格生産に乗り出した。
 井土地区は夏場は涼しい海風が吹き込み、冬場は雪が少ない。沿岸部特有の気候がネギ栽培に適していたようで、「たまたま、おいしいネギが生まれた」(鈴木さん)。良質な堆肥を投入して土壌改良を続けるなどの努力も実を結んだ。
 「仙台井土ねぎをブランド化し、付加価値を付けて売りたい。利益を上げて、組合が独り歩きしないといけない」。理事の大友新さん(64)は戦略を練る。
 11月に市内の飲食店と連携し、仙台井土ねぎを使った新メニューを提供するキャンペーンを初めて企画。12月にはネギの詰め放題イベントも開く。「まずは地元で認知してもらいたい」(大友さん)と、PR活動に余念がない。

<復興のシンボル>
 震災前の井土地区は105世帯だったが、今は8世帯しか住んでいない。組合は13年1月に設立後、離農者らから委託を受け、地区内の農地の99%に当たる100ヘクタールを集約して経営している。
 「井土で農業をしていれば、ばらばらになった人たちが集まれる。津波で仲間を亡くすなどつらい思いもしたが、頑張って持続的な組織をつくり、次世代に引き継いでいきたい」と鈴木さん。仙台井土ねぎは地区復興のシンボルでもある。


関連ページ: 宮城 社会

2016年10月04日火曜日


先頭に戻る